「書店員が選んだ、もう一度読みたい恋愛小説」第1位に選ばれたロングセラー小説が、ついに映画化されます。時空を超えて想い合う平野と志織を演じた高橋一生さん、川口春奈さんにお話をうかがいました。初共演の感想や撮影中のエピソード、そしてお二人にとっての“運命の恋”とは?
ちょっぴり風変わりなマンションに引っ越してきた志織(川口春奈)は、ある日、部屋の中で“1年後の未来”から届いた声を聞き、命を救われる。このことを聞いた隣人の平野は、彼女の身に「タイム・パラドックス」が生じることに気付く。それは一年後、志織の存在が消滅することを意味していた。助かるためには“未来の声”の正体を突き止めなければならない。時空を超えてまで志織を助けようとしたのは一体、誰?
出演:高橋一生 川口春奈/浜野謙太 中村優子 川栄李奈 古舘佑太郎 ミッキー・カーチス
原作:松尾由美『九月の恋と出会うまで』(双葉文庫)
監督:山本 透
脚本:草野翔吾 山田麻以 山本 透
主題歌:androp「Koi」(image world/ZEN MUSIC)
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 松尾由美/双葉社 ©2019「九月の恋と出会うまで」製作委員会
映画『九月の恋と出会うまで』公式HP
―お二人は今回が初共演とのことですが、お互いの印象は?
高橋:(川口さんは)とても柔軟にお芝居をされる方だと思いました。僕自身は、現場のシチュエーションや雰囲気から感じたままに芝居をしていくタイプ。今回も、役を作り込むようなことはあまりせずに撮影に臨んだんです。それに対してとても柔軟に対応してもらえたし、きちんとお芝居で返してもらえたのは本当にありがたかったです。
川口:私が演じた志織は、やっぱり(高橋さん演じる)平野さんがいたからこそ成り立ったと思います。お芝居中は、いろんな表情や感情を高橋さんが引き出してくれたし、現場でも、みんなが楽しく居心地よくいられるように、雰囲気作りから何からつねに気を遣ってくださって……。本当に感謝です。
―劇中では、お二人の素の部分を垣間見るようなシーンもありますね。お二人で事前に相談していたのでしょうか? とくに志織と平野が「ケチ!」と言い合うシーンはすごくキュンとしました。
高橋:それは嬉しいです。相談はとくにしませんでした。
川口:『ケチ』は、山本監督がすごくこだわってたんですよ。「交互に言い合うのが大事なんだ」って。
高橋:そうだ、「『ケチ』って出来るだけ言い続けてほしいな~」とか「いろんな『ケチ』が欲しいな~」とおっしゃっていました。あそこでキュンとしてくれたなら、それはもう監督の思うツボですね(笑)。
―劇中で平野は、自分は運命の相手ではないからと、志織とまっすぐ向き合うことから逃げてしまいます。本当の気持ちにフタをするといった経験は大人になるほど多くなると思いますが、お二人はいかがですか?
高橋:気持ちを抑えなければいけないことはあると思います。ただそれは世間的にとか、周りがどうだという理由ではなくて「自分にとっても居心地が悪いから」という時。例えば誰かを好きになったとしても、どこかに後ろめたかったり気まずい思いがあったりするなら、それが答えだと思う。そういう時はむしろその気まずさのほうに従います。
川口:気持ちにフタをすることは、私にももちろんあります。誰だって自分の気持ちのままに行動できればいいけれど、実際はそうもいかないことの方が多いですよね。内心は嫌だなと思いながら、結局はみんながハッピーになる方を選んでしまったり……。ただそんな時でも自分の意思表示はするようにしています。なのでもし恋をして、相手にとって私が運命の相手ではなかったとしても、気持ちだけはきちんと伝えると思う。恋でも仕事でも、言わずに終わらせてしまうのはいつか後悔すると思うんですよね。
―なるほど。一方で、「男はみんな、好きな人のために奇跡を起こしたいと思ってる」といったセリフも出てきます。
川口:奇跡、起こしたいですね(笑)! と言いつつ、何をもって奇跡なのかがわからないけれど……(笑)。
高橋:僕は、奇跡はそれこそ毎日起きていると思うんです。それ自体は珍しいことではなくて、そこに自分がどういう価値を与えるかで、奇跡かそうでないかが決まる気がします。日常にいくらでもある出来事を、どう捉えて、誰を意識して「これは奇跡だ」と思えるか。そこが大事なんだと思います。
―では最後に、撮影中の面白いエピソードがあればぜひ教えてください。
川口:高橋さんの面白いエピソード、あったかな……。
高橋:ないんでしょう(笑)。
川口:高橋さんは常に平熱というか、波がないんですよね。
高橋:それがモットーですから。
川口:……と、今までは思っていたんですけど、今日TV番組の収録で美術館に行った時、すっごいテンション上がっていましたよね(笑)。高橋さんが「わーー!」って言ってるの、初めて見た。
高橋:それだと僕、おもちゃ売り場ではしゃいでいる子どもみたいじゃないですか(笑)。
川口:いやいや(笑)。ああ、こんな顔もされるんだなって。
高橋 一生(たかはし いっせい)
1980年12月9日生まれ、東京都出身。数多くの映画、TVドラマ、舞台で活躍。2018年、映画『空飛ぶタイヤ』『嘘を愛する女』『億男』の演技で第31回日刊スポーツ映画大賞助演男優賞受賞。4月スタートの土曜ナイトドラマ『東京独身男子』(テレビ朝日)に主演するほか、8月30日より映画『引っ越し大名!』(犬童一心監督)が公開予定。
川口 春奈(かわぐち はるな)
1995年2月10日生まれ、長崎県出身。雑誌「二コラ」のモデルとして活躍後、2009年に女優デビュー。以降TVドラマ、映画、CMなどで幅広く活躍している。主な出演作は『好きっていいなよ。』(‘14年)、『クリーピー 偽りの隣人』(‘16年)など。『一週間フレンズ。』(‘17年)など。ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」は絶賛放送中。
Photographer:Mai Hokari(BOIL)
Writer:Megumi Yamazaki