GReeeeN の大ヒットソング『キセキ』。誰もが知る名曲誕生の裏にある〝軌跡〟と〝奇跡〟の物語を松坂桃李さんと菅田将暉さんW 主演で映画化しました。劇中では、本格的な歌も披露。菅田将暉さんとのエピソードなど、魅力たっぷりにお話を聞かせていただきました。
『キセキ ーあの日のソビトー』
1 月28 日(土)全国ロードショー
厳格な父の反対を押し切り家を飛び出したミュージシャンの兄・ジン。父の想いを受け歯医者を目指す弟・ヒデもまた、仲間と共に音楽に魅了されていく。弟たちの才能を知ったジンは、裏方として彼らをサポートすることを決意。恐ろしい父には内緒にしながら、顔出しなしで〝歯医者と歌手〟を両立することになる。
監督:兼重淳
脚本:斉藤ひろし
音楽:GReeeeN
主題歌:GReeeeN『ソビト』
プロデューサー:小池賢太郎
音楽プロデューサー:JIN
配給:東映
出演:松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里ほか
(C)2017「キセキ ーあの日のソビトー」製作委員会
――最初に映画のオファーがあった際は、どんなお気持ちでしたか?
「え、これ映画化していいんですか?」と。今まで覆面でやっていたバンドが、ある種、素顔をさらすじゃないですか。ちょっと驚きはあったんですけど。台本を読んで、GReeeeN が誕生するまでのお話しはもちろん描かれてますが〝夢を掴もうとする者〟〝夢を掴もうとしたけどその夢に折り合いをつけて別の道に進んだ者〟それぞれの歩む道、その軌跡がしっかりと描かれていて、見る人によって色んな角度で刺さる作品だなと思ったんですよね。だから「やらせていただきます」みたいな。
――歌の披露も素敵でした!
マネージャーさんからは「松坂君はプロデューサーの役だから、歌わないですよ」と言われてたんですけどね。なんかね、決定稿を見たら歌ってたんですよ。僕、歌とホラー映画はNG で、ずっとそこは避けてきたんですけど(笑)。「役としてやるんだから全く問題ないでしょ。むしろそれができなくてどうするんですか」と、若干怒られるっていう。「そうですか、すみませんでした」ってことで、騙された(笑)。
――これを機に歌のオファーがあるかもしれませんね!
演じてみて改めてわかったんですけど、一曲歌うのに物凄い疲労感というか大変なんだなという事を感じて。アーティストの方は、こんな難しいレベルの高い事を平然とやってのけるのかと。とてもじゃないですけど、僕はそんな難しいことできません! 恐れ多いです。
――兼重監督は松坂さんに対し「こんなにも台本を大切にされる方いない」と仰っていました。
僕ら役者は0ではなくて1から作り上げる段階からスタートするので、1の部分がものすごく大事。現場が一番大事ですけど、台本の中にも(大事なことが)結構ある。それは自分の中で、大事にしたいなぁと思っています。
――監督の言葉で心に残ったものはありますか?
クランクアップで監督と握手とハグを交わした時に「またやろうね」って言ってくれたのが、すごく残ってます。
――実在の人物であるGReeeeN の音楽プロデューサー・JIN さんご本人とお会いしたときの印象はいかがでしたか?
JIN さんは、親や仲間、音楽会社にもたくさんはじかれてきて紆余曲折な人生だったと思います。その中で、音楽に対する愛というか、思いの強さはすごい感じられました。具体的な言葉ではなく抽象的な言葉でも、すごくキャッチ−で人を引き寄せるような、言葉に吸引力のある方。なかなか表現できないような魅力を持っている方で演じるのは難しかったですが、あまり深く考えるのはやめましたね。親、兄弟、バンドメンバーと接して演じる中で、そこに行き着くはずだと思ったので。
――松坂さん自身、世間から〝はじかれた〟と思ったことはありますか?
〝桃李〟っていう名前が故に、小学校低学年の頃なんかは、はじかれることは多かったですね。学生時代なんかは、結構一人でいることが多かったです。
――共演の菅田将暉さんは「桃李くんとのお芝居でしか味わえない楽しさがすごくある」という話をされていましたが、松坂さんはいかがですか?
そのままそっくりお返しするぜ、ってことです。本当に菅田としか味わえない空気感というか、芝居の緊張感もあれば刺激もあるし、彼とでしか味わえない瞬間っていうのは、この作品では僕も多かった。それはやっぱ、いいですよね。定期的にやりたいですよね。オリンピックみたいな、四年に一度ぐらいな感じで。
――なりたいもの〟と〝なれるもの〟、〝理想〟と〝現実〟の葛藤は、どんな気持ちで臨まれましたか?
どうしてもそこに届かなくて違うところにいる自分というのは、客観的に見たら行きたい場所に行きつけなかったかもしれない。でもそれは、決して間違いではないと思うんですよね。自分の中で好きが故に〝じゃあこっちの選択肢もある〟という事を新しく見つけて、自分の決断で自分の足でそこに行くということは。自分の思う自分のやりたい事、好きな気持ちっていうものを持っていれば、決して間違いな方にはならない。そういう事を教えてくれました。
――ありがとうございました! では最後にTOPLOG読者へメッセージお願いします。
社会に出ている人たちにも、ぜひ観て欲しい作品です。学生時代に〝自分はこういうことをやりたい〟と漠然と持っていたものとは今、現実には違う仕事をやっているかもしれない。現実に行くまでの過程で、どこかで現実をみて、目の当たりにして、折り合いをつけて〝じゃあ自分はこういうところかな〟って行きついた人はいると思うんです。ジンみたいに。それでも間違ってなかったというか、自分の今いる場所というのは、しっかりと自分が歩んできて選択して決断した道で今そこにいるって事を改めて教えてくれる。今やってることを更に後押ししてくれるような作品だと思います。
松坂桃李(まつざかとおり)
1988 年10 月17 日生まれ。神奈川県出身。来年1 月スタートのNTV 連ドラ「視覚探偵 日暮旅人」に主演する他、2018 年には映画「不能犯」が公開予定。
Model:Tori Matsuzaka
Photographer:Kosuke Nakashima (PEACE MONKEY)
Stylist:Shogo Ito(sitor)
Hair&Make-up:AZUMA@MONDO-artist(W)
Writer:Noriko Hashimoto
Editor:Mao Abe(WHITE AGENCY Inc.)
Designer:Yumiko Chizuka(WHITE AGENCY Inc.)