気温が高い日が続く夏は、お弁当が傷みやすい季節です。今回は、夏のお弁当が傷みやすい原因や腐りにくくする方法の他、傷みやすい食材や傷みにくい食材、暑い日のお弁当に入れたいおすすめレシピをご紹介します。
暑い日が増えてくる梅雨入り前から気になるのが、お弁当の食中毒です。特に、毎日気温が高い真夏は、お弁当が傷みやすい時期とされています。
夏のお弁当が傷みやすい理由は、お弁当を保存している環境です。そもそも、食中毒は、食中毒を起こす細菌やウイルスなどが付着した飲食物を口にすることで腹痛、発熱、吐き気や下痢などの症状が起こります。また、飲食物に付着している細菌やウイルスが少数であっても、胃腸を通る間に細菌やウイルスが増殖し、食中毒になることもあります。
細菌やウイルスが最も増殖しやすいのが、25~40℃の温度といわれていますので、気温が30℃を超える夏は、お弁当が傷みやすく、食中毒が起きやすい季節です。
また、食中毒を起こす菌は、湿気の多い場所で特に繁殖しやすいので、湿度の高い日本の夏は、食中毒菌が増殖しやすい気候です。また、お弁当内も、食中毒菌が好む水分や栄養分が多いので、元々付着していた食中毒菌が増殖してしまいやすいですね。
したがって、気温が20℃を超える日が出てくる5月後半から10月初旬までは、食中毒が起きやすい時期ですので、お弁当を詰める際には食中毒の予防策を取り入れるのがおすすめです。
お弁当に菌を付着させないことはもちろんのこと、付着した菌を増加させないような対策を取り入れたり、付着した菌を除去するような工夫をすることが、安心でおいしいお弁当を作るためには重要です。
今回は、夏のお弁当を傷ませないコツやお弁当に入れるのは注意したい傷みやすい食材をご紹介します。傷みにくい食材や、夏のお弁当に入れたいおすすめのレシピもご紹介しますので、ぜひ夏のお弁当作りの参考にしてみてくださいね。
食中毒が発生しやすい夏は、お弁当を作る際に注意したいことがあります。
例えば、お弁当作りに取りかかる前に、必ず石けんでしっかり手を洗って、清潔な手で調理をするようにしましょう。
また、調理中や盛りつけ中もこまめに手を洗うようにしたいですね。
さらに、おにぎりやサンドイッチなど、加熱しない料理を作る際には、素手ではなく清潔な手袋を装着したり、ラップを使用するなどして、素手で触らないようにすることも効果的です。
そして、食中毒を予防するためには、使用する食材も、水でしっかり洗うことも大切です。
特に、加熱調理をしない野菜や果物は、菌が増殖しやすいので、丁寧に水洗いしたいですね。ミニトマトのような菌が入り込んでいることが多いヘタが付いている食材は、その場でヘタを外して、流水で菌を洗い流します。
そして、清潔なお弁当箱や調理器具などを使用することも重要です。特に、お弁当箱やカトラリーケースなどの底の隅や縁、お弁当箱の蓋のパッキンなどは、意外と汚れが落とし切れていないことがありますので、洗い残しがないように注意したいですね。また、お弁当箱やカトラリーケースなどは、しっかり乾燥させてから使用しましょう。定期的に熱湯消毒をしましょう。
また、お弁当を作る場所であるキッチンも、掃除をしておき、できるだけお弁当に菌が付着しないようにしたいですね。
そして、お弁当に入れるおかずは、味付けをいつもより濃くすることで、塩分や糖分の濃度が高くなり、水分量が少なくなるので、傷みにくくなるといわれていますよ。
さらに、お弁当が傷む原因になる水分が、できるだけお弁当内に溜まらないように工夫するのもおすすめのテクニックです。
例えば、食材は水分をしっかり切ってお弁当箱に入れることは大切です。また、水分がお弁当箱に広がらないように、お弁当カップやアルミホイルを使用するのもおすすめです。
その他にも、異なるおかずやご飯同士が触れ合うと、傷みやすくなるといわれていますので、お弁当箱の仕切りやバラン、シートやアルミホイル、お弁当カップなどを使用して、おかずは1種類ずつ区分けしたいですね。別々の容器に入れるという方法も有効です。
お弁当に水分が溜まらないよう、水分を吸収しやすい、かつおぶしやのり、すりごまなどを活用するのは有効ですね。
タレは片栗粉でとろみをつけるという方法もおすすめです。
醤油やソース、ケチャップなどの調味料は、ミニボトルに入れておき、食べる直前にかけるようにしましょう。
そして、お弁当を作る場合、前日の夕ご飯の残りや作り置きのおかず、冷凍食品などを活用している方は多いと思います。
しかし、すでに調理済みの食材であっても、菌が付着しています。したがって、お弁当に詰める前に加熱をすることで、食材に付着している菌をある程度取り除くことができます。食中毒の原因になる菌は、75℃以上で1分間以上、中心まで加熱すれば死滅するといわれていますよ。ハムやちくわのようなそのまま食べられる食品も一度加熱すると安心です。
そして、加熱した食材をきちんと冷ましてからお弁当箱に詰めるのが、夏のお弁当が傷みにくくなるコツですね。熱い食材をそのままお弁当箱に入れてしまうと、冷める時に湯気が水滴となってしまい、菌が繁殖する原因になります。
さらに、近年は、お弁当にぴったりの抗菌グッズも増えてきています。
ご飯やおかずの上に被せる抗菌シートやお弁当カップは、ぜひ夏場のお弁当箱に使用したいですね。
また、お酢には抗菌作用や防腐作用がありますので、お酢をお弁当箱に塗るのもおすすめです。ただし、お酢はそのまま使用するとニオイや酸味が強く、お弁当の食材にもニオイや酸味が付いてしまいます。したがって、キッチンペーパーをお酢で濡らしてお弁当箱やカトラリーケース、カトラリーなどを拭き、15分以上放置して乾燥させましょう。しかし、アルミのお弁当箱にお酢を使用すると腐食する可能性がありますので、プラスチック製のお弁当箱に利用しましょう。
殺菌作用のあるわさびをお弁当箱のフタに薄く塗るという抗菌テクニックもありますよ。
キッチングッズに使用できるアルコールで除菌することも有効です。
そして、夏のお弁当が傷むのを予防するためには、お弁当箱に保冷剤を添え、保冷バッグに入れて持ち歩くようにしましょう。保冷ランチボックスや保温ジャーを使うのも有効ですね。
市販されている自然解凍ができる冷凍食品は、保冷剤の役割を果たしてくれますが、自作したおかずを自然解凍するのは、菌が繁殖する可能性があるのでNGです。
凍らせたゼリーを入れるのも、人気の保冷テクニックですね。
できれば、お弁当箱は、冷蔵庫や涼しい場所に保管しておき、食べる直前に電子レンジで加熱するようにしましょう。直射日光の当たる場所や車の中など、高温になる場所ではお弁当箱を保管しないようにしましょう。
お弁当が傷みやすい夏の時期ですが、衛生管理や温度調整をすることが大切です。しかし、食材の中には、お弁当に入れる場合は特に注意した方がいい傷みやすい食材があります。
例えば、白米に味を付けた混ぜご飯や炊き込みご飯は、特別感があるので、子どもから大人まで人気がありますよね。
しかし、混ぜご飯や炊き込みご飯は、米以外の食材の水分が加わるため、傷みやすいといわれていますので、夏のお弁当に入れるのは避けた方がいいですね。
炒飯やピラフなどの味付けご飯も夏のお弁当に入れるのは避けた方がいいですね。
そして、生ものや非加熱の食材も、菌が付着しており、腐る原因になりやすいので、夏のお弁当に入れるのは避けた方がいいですね。
例えば、お刺身や明太子、たらこなどの他、加熱していないハムやソーセージ、かまぼこやちくわなども注意が必要です。
また、レタスやキュウリなどのビタミンやミネラル、食物繊維などが多く含まれている野菜は、お弁当の彩りをアップしてくれる役割もあります。しかし、傷みやすいお弁当の具材として挙げられることが多いのが生野菜です。加熱していない生野菜は、しっかり洗っていても、菌が付着していますので、夏のお弁当に入れる際には、できるだけ加熱した野菜を活用しましょう。果物や漬物も菌が繁殖しやすいので注意しましょう。
ただし、ミニトマトは、生野菜の中では傷みにくい野菜です。ヘタを取り、よく洗って、水分をよく拭き取ってからお弁当箱に入れましょう。
リーズナブルでアレンジメニューも豊富な卵は、お弁当の定番食材です。しかし、完全に火が通っていない半熟卵は、サルモネラ菌が増殖する危険があり、傷みやすいので注意したいですね。
卵を夏季のお弁当に入れる場合には、しっかり熱を通しましょう。
そして、最初にご紹介したように、菌が繁殖しやすい条件の一つが「水分」です。したがって、水分の多い食材やメニューは、夏のお弁当に入れるのは避けた方がいいですね。
例えば、
・煮魚
・煮物
・おろしハンバーグ
などですね。
また、野菜を醤油で和えたおひたしやドレッシングをかけた温野菜のような、調味料を付けたおかずも、調味料を付けることで食材から水分が出てしまいます。したがって、調味料やドレッシングは食べる直前に食材に和えるようにしましょう。
夏のお弁当の定番メニューの冷やし麺も、麺と汁は別々に持ち歩くようにして、食べる前に汁を麺にかけるようにしましょう。
そして、普段冷蔵庫で保存しているマヨネーズを使用したおかずも、夏のお弁当に入れるのは避けた方がいいですね。
マヨネーズは、生卵にお酢や油を加えたものですので、調味料の中でも傷みやすい傾向があります。
特に、マヨネーズで和えたサラダは、持ち歩いている間に食材から水分が出て、ますます傷みやすくなります。
マヨネーズをかけたグラタンやマヨネーズを加えて加熱したマヨチキンなどは、マヨネーズに熱を加えていますので、比較的傷みにくい傾向があります。
そして、お弁当にグリーンを足してくれるブロッコリーは、加熱して食べるのが定番です。
しかし、ブロッコリーのつぼみ部分は、水分を含みやすく、菌が繁殖しやすいので、実は夏のお弁当に入れるのは避けた方がいい食材の一つです。
チーズやクリームなどの乳製品も、冷蔵保存している食品で、夏は腐りやすいので、お弁当に入れるのは避けた方がいいですね。
その他にも、デンプンを多く含む食材は、傷みやすいので、夏のお弁当に入れる場合には注意が必要です。
例えば、
・じゃがいも
・さつまいも
・かぼちゃ
・さといも
などです。いも類やかぼちゃを使った煮物や、コロッケ、てんぷらなどは、傷みやすいので注意したいですね。
お弁当が傷みやすい夏は、できるだけ傷みにくい食材を取り入れるのもおすすめの食中毒対策です。
ただし、ご紹介する食材やメニューが必ずしも腐らないというわけではありません。衛生面や温度管理を徹底し、できるだけ作り置きは避けるようにしましょう。また、変色や糸を引いているなど、見た目に異変を感じたり、ニオイや味がおかしいと感じる場合は、食べないようにしましょう。
例えば、殺菌効果のあるハーブやスパイス、薬味などを使用するのは、傷みにくいお弁当を作る重要なポイントです。
例えば、
・ローズマリー
・バジル
・ミント
・シソの葉
・ショウガ
・ニンニク
・ワサビ
・カレー粉
・唐辛子
・胡椒
・からし
などは、料理のアクセントになるだけでなく、お弁当の食材に付着した菌の増殖を抑える効果が期待できます。
ただし、ハーブやスパイス、薬味などは、おかずやご飯類に添えるのではなく、味付けに使用して、できるだけ加熱するのがおすすめです。
すでにご紹介しているように、お酢には抗菌作用や防腐作用がありますので、お酢を使用したおかずは傷みにくいですね。生姜の甘酢漬けピクルス、マリネがおすすめです。
また、ご飯を炊く際に、お米1合に対してお酢を小さじ1杯入れるのもおすすめです。炊飯中にお酢のニオイや味はほとんどなくなりますので、通常の白米と同じように食べることができますよ。もちろん、ご飯を酢飯にしてもOKですよ。
また、昔から日持ちする保存食として愛されてきた梅干しも、殺菌作用や防腐作用がある食材ですので、ぜひ夏のお弁当に取り入れたいですね。
そして、お弁当の人気メニューの定番の唐揚げは、実は夏のお弁当に入れたい傷みにくいメニューです。ただし、唐揚げは、高温で鶏肉の中までしっかり熱を通す必要があります。
その他にも、エビフライやてんぷらなどの揚げ物も、傷みにくいメニューです。ただし、いも類やかぼちゃを使った揚げ物は傷みやすいですね。
夏は、お弁当が傷みやすいだけでなく、暑い日が続くと夏バテしてしまうこともあります。暑い日も食べやすいさっぱりとしたメニューや、疲れた体にパワーをくれるようなスタミナがアップするような献立が夏バテ対策にぴったりです。
夏のお弁当におすすめの傷みにくいレシピをご紹介します。
夏のお弁当にぜひおすすめしたい唐揚げは、サクサクとした衣とジューシーなお肉が夏バテぎみの体に元気をくれるメニューです。
あらかじめ鶏肉に穴を開けておくのが、奥まで熱が通りやすくなるコツですね。
一晩漬け込んでおけば、鶏肉に味がしみ込みやすくなり、傷みにくくもなりますね。
夜ご飯のおかずやおつまみにもおすすめのレシピです。
豆腐をミックスしたハンバーグは、ヘルシーになるだけでなく、ふわふわとした柔らかい食感になるのが魅力です。
こちらのレシピのように、ハーブをミックスすれば、いつものハンバーグとはひと味違った味わいになりますし、夏のお弁当に入れても傷みにくくなりますね。
夏のお弁当におすすめしたい簡単メニューといえば、生姜焼きも欠かせません。豚肉には、疲労回復に効果的なビタミンB1が多く含まれていますので、疲れた体にぴったりの暑い日のお弁当レシピです。
こちらのレシピのように、ニンニクや生姜を使用して、味付けを濃いめにするのが傷みにくくなるコツですね。
たっぷり入った野菜がお弁当の彩りを良くして栄養価もアップしてくれるプルコギも、ニンニクやコチュジャンを使用しているので、夏のお弁当におすすめの傷みにくいおかずです。
ただし、お弁当に入れる場合は、汁をしっかり切って、お弁当カップに入れるようにしたいですね。
ニラのニオイが気になる場合は、ニラの代わりにピーマンを加えてみましょう。
マスタードやローズマリーを使用したこってりとしたハニーマスタードチキンも、夏のお弁当におすすめのおかずです。
こちらのレシピのように、前日の夜に仕込みをしておけば、お弁当を詰める前にグリルすればOKですので、朝の時短にもなりますね。
ただし、デンプン質の多いじゃがいもは傷みやすいので、夏場はお弁当のおかずにするのは避けた方がいいですね。
フライのような揚げ物も、夏のお弁当に入れたい傷みにくいおかずです。殺菌作用が期待できる梅やシソを使用しているので、爽やかな風味のとんかつです。シソのグリーンと梅干しの赤がお弁当の彩りを良くしてくれますね。
また、薄切り肉を使用していますので、少ない油で短時間で揚げても、中までしっかり火が通るのも嬉しいですね。
カルシウムが多く、脳の疲労回復に効果的な栄養素を含む鮭も、疲れが抜けにくい夏のお弁当におすすめです。
カレー粉を使用しているので、傷みにくいだけでなく、魚臭さも緩和しますので、お子さんでも食べやすい竜田揚げとなっています。
プリプリとした海老の食感が楽しい海老チリも、夏のお弁当におすすめのおかずです。海老には、生活習慣病予防やアンチエイジングに効果的な栄養素が含まれていますよ。
ニンニクや生姜、豆板醤などを使用しているので、傷みにくいですが、チリソースは、片栗粉を多めに使用して固めに仕上げましょう。
リーズナブルなちくわは、スーパーやコンビニでも手軽に購入できますので、お弁当のおかずにあと一品欲しい時にも便利ですよね。
加熱処理していない加工食品も、夏場は傷みやすい傾向がありますので、こちらの磯辺揚げのように、一度熱を加えてからお弁当に入れるのがおすすめです。
バジルが香る磯辺揚げは、ちくわを格上げしてくれるおしゃれなメニューです。
安い価格で手に入る卵は、お弁当のおかずの定番具材の一つですよね。しかし、卵焼きは、どうしてもマンネリになってしまいやすいメニューでもあります。
しかし、こちらのように、卵の中心にカニカマやソーセージなどを入れて巻けば、特別感もアップし、飽きにくくなるのでおすすめです。
卵のイエローやカニカマのレッドがお弁当箱を明るい印象にしてくれますね。
ただし、半熟の卵は、夏場は傷みやすくなりますので、きちんと熱を通して固く焼くようにしましょう。
お弁当が傷みやすい夏におすすめしたい作り置きおかずは、きんぴらごぼうです。
シャキシャキとした食感のごぼうは、噛み応えがあり、食物繊維が豊富ですので、満腹感も得やすいですよ。
こちらのレシピのように、ごぼうを酢水に漬けることで、アク抜きができ、変色も予防できますし、傷みにくくもなりますね。ごまや唐辛子がアクセントになった食欲をそそる副菜となっています。
夏場は、お弁当にグリーンを加えてくれる生野菜は避けた方がいいので、加熱したピーマンやさやいんげん、枝豆やオクラなどが重宝しますね。
こちらのレシピは、電子レンジで作れるマリネですので、忙しい朝に便利な時短メニューです。ピーマンとしめじを加熱し、マリネにしたおかずは、夏のお弁当に入れても傷みにくいおかずですので、ぜひ活用したいですね。
さっぱりとした味わいのマリネは、食欲が落ちてしまいやすい夏でも食べやすいおかずですよ。
夏が旬のオクラは、夏バテ予防に役立つ栄養素を含む野菜の一つで、お弁当のおかずに入れたい食材です。
さっぱりとした梅風味の和え物は、食欲をアップしてくれるレシピです。かつおぶしを和えることで旨味が増しておいしくなるだけでなく、水分を吸収してくれて腐りにくくなりますね。
色鮮やかなアスパラとベーコンのカレー炒めは、子どもから大人まで喜ばれやすいスパイシーな夏のお弁当におすすめのおかずです。
少ない材料で短い時間で作れますし、洋風のおかずにも和風のおかずにも合うレシピとなっています。
お弁当が傷みやすい夏は、衛生管理や温度管理が重要です。また、お弁当に入れる具材も傷みにくいものを選ぶと安心ですね。お弁当を用意する際は、ぜひ参考にしてみてくださいね。