卵は日持ちする生鮮食品。しかし、保存方法を間違えると、食中毒のリスクもあります。ここでは、卵の正しい保存方法や日持ちする卵料理のレシピ、うずらの卵の保存方法などをご紹介します。
【目次】
一度にたくさん卵を買ったり、一人暮らしで卵の消費量が少なかったりすると、賞味期限内に卵を食べきれるのか心配になります。一般的に、卵は日持ちする生鮮食品だと言われていますが、賞味期限はどれくらいなのでしょうか。
卵の賞味期限とは、安心して生卵を食べられる期間です。家庭で冷蔵保存した場合、春秋は産卵後25日以内、夏は16日以内、冬は57日以内であれば、食中毒を起こす菌は繁殖しないと考えられています。
ただし、お店で売られている卵の賞味期限はパック業者や量販店などの話し合いで決められていて、パック後2週間に設定されていることが多いです。
スーパーで売られている卵はパック後、数日経っていることが多いため、長持ちする卵が欲しいなら、購入時にしっかりと賞味期限を確認しましょう。
うっかり卵の賞味期限を切らしてしまった経験がある人は多いでしょう。賞味期限切れの卵は食べても大丈夫なのでしょうか。
卵の賞味期限は生で安心して食べられる期間です。食中毒を引き起こす菌は熱に弱いので、賞味期限が切れても加熱調理すれば、食べられます。卵だけで加熱するときは70℃で1分以上、他の食べ物と合わせて加熱するときは75℃で1分以上火にかけ、黄身も白身も硬くなってから口に入れましょう。
ただし、常温保存した卵や賞味期限が切れてから数日経った卵は捨てた方が安心です。また、卵かけご飯や温泉卵などは必ず賞味期限内に食べてください。
帰宅時や冷蔵庫にいれるときなどに卵が割れてしまうことは珍しくありません。卵が割れた場合、冷蔵庫などで保管せず、すぐに使い切ってしまいましょう。
卵が割れると、ヒビから雑菌が入りやすくなります。雑菌が入った卵をそのまま食べると、食中毒に繋がる可能性もあるため、しっかりと加熱してから食べるのが大切です。
卵による食中毒はサルモネラ菌によって発症するといわれています。症状は腹痛や下痢、嘔吐、発熱などで、重症の場合は、命にかかわる危険性もあります。
日本でパック詰めされて売られている卵はしっかりと洗浄されているので、万が一、殻に菌が付いていても賞味期限内であれば、食中毒にかかるリスクはないでしょう。
サルモネラ菌は70℃で1分間加熱するとなくなるため、食中毒が不安な人は生食を避けて加熱調理するのもおすすめです。
卵を買ってきたら、パックから取り出して冷蔵庫に入れる人もパックのまま冷蔵庫に入れる人もいるでしょう。卵はパックのまま保存するのがベストです。
パックから卵を取り出した状態で冷蔵庫に入れると、保存中に卵の表面にサルモネラ菌などが付着することがあります。
また、万が一、卵の殻にサルモネラ菌が付いていた場合、パックに入れずに卵を冷蔵庫で保存すると、他の食品にサルモネラ菌が移ってしまう可能性も否定できません。食中毒を予防したいなら、卵はパックのまま保存してください。
卵を安全に、おいしく食べるためには、適切な方法で保存することがポイントです。卵の品質低下や雑菌繁殖を予防する正しい保存方法についてご紹介します。
卵はパックのまま保存するのが正解。しかし、普通に卵のパックを開けると、蓋が開いて雑菌が侵入したり、他の食材に移ったりすることがあります。
卵パックを開けるときは、ハサミを使ってテープとは逆の方を開けるのがベストです。この方法でパックを開けると、保存中に蓋が開かず、食中毒のリスクを減らせます。
卵はなるべく冷蔵庫の奥で保存しましょう。奥は冷蔵庫を開け閉めしても温度変化の影響を受けにくく、卵の品質が劣化しにくいです。
また、卵をドアポケットに保存した場合、冷蔵庫の扉を開けるときの振動で殻にヒビが入ることがありますが、冷蔵庫の奥なら、振動の影響も少ないです。
卵による食中毒の原因になるサルモネラ菌は温度によって繁殖のスピードが変わります。食中毒を防ぎたい人は卵を保存するときの温度にも注意しましょう。
卵は安定的に10℃以下の場所で保存されていると、長持ちすると考えられています。特に、3~5℃を保っていると、食中毒のリスクが低いといわれているので、卵を買ったら、早めに冷蔵庫へ入れるのがおすすめです。
スーパーなどでは、卵は常温で陳列されていることが多いです。しかし、自宅では、卵を冷蔵庫に入れている人がほとんどでしょう。卵は常温で保存しても大丈夫なのでしょうか。
■常温保存で売られている理由
スーパーなどで卵が常温で売られている理由は、結露を防ぐためです。温度差で卵に結露が付くと、卵が呼吸をするためにある気孔が開きます。雑菌が気孔から卵の内部に侵入すると、品質が劣化し、傷んでしまうことが多いです。
スーパーなどでは、気温の変化による結露を防ぐために、卵を常温で売っています。
■自宅でも常温保存できる
常温で売られていた卵であれば、自宅でも常温保存できます。ただし、卵の賞味期限は冷蔵保存した場合の目安なので、常温保存するときは賞味期限よりも早く使い切りましょう。また、生食は避けてしっかりと火を通してから食べるのがおすすめです。
卵を保存するときは、上下に悩む人が少なくありません。卵はどの向きで保存するのが良いのでしょうか。
■尖った方を下にする
卵は尖った方を下にして保存するのが理想。卵の殻は丸い方と比べて尖った方が強いです。尖った方を下にすると、冷蔵庫に入れるときなどにヒビが入りにくいので、卵の内部に雑菌が入り込むのを予防できます。
■丸い方を下にすると細菌が入りやすい
卵の丸い方には気質があります。丸い方を下にすると、気質にある空気が黄身と触れ合って細菌が繁殖しやすくなると考えられています。
賞味期限内の卵でも、保存方法を間違えると、食中毒に繋がったり、品質が悪化したりします。卵のNGな保存方法について確認してみましょう。
卵を冷蔵庫のドアポケットで保存する人は多いですが、これは避けた方が無難です。ドアポケットに卵を入れると、冷蔵庫のドアを開けたときに、外気が入り込んで卵が暑い気温にさらされたり、温度差で卵に結露が付いたりします。
また、卵をドアポケットに入れると、冷蔵庫を開閉する際の振動で殻にヒビが入り、雑菌が繁殖する可能性も高まります。
ドアポケットの近くに卵専用のフォルダーがある場合は、温度変化や振動で卵の品質に悪影響が及ぶ可能性があるので、卵は冷蔵庫内の別の場所に保存するのがおすすめです。
また、ドアポケットの近く以外に卵専用のフォルダーがある場合も、卵をパックから出さなければならないときは、パックに入れたまま冷蔵庫の奥に保存しましょう。
ただし、卵専用のフォルダーが冷蔵庫の奥にあり、パックごと移し替えられる場合は、卵専用のフォルダーを使っても問題ありません。
買ってきた卵を水で洗ってから保存するのもNGです。水洗いすると、卵の内部に細菌や微生物が侵入するのを防ぐクチクラ層が剥がれます。卵を水で洗うと、クチクラ層が剥がれて雑菌や微生物が侵入して、食中毒のリスクが高まります。
Costco(コストコ)などでは、卵が冷蔵保存で売られていることもあります。冷蔵で売られていた卵を常温の場所に移すと、温度変化で結露が発生して細菌が侵入することが少なくありません。
冷蔵で売られている卵を買ったら、氷やクーラーボックスなどで卵を冷やしながら持ち帰り、なるべく早く冷蔵庫に入れて結露を予防しましょう。
正しい方法で保存しても、卵自体が古いと、長持ちしません。卵をできるだけ長く保存したい人は新鮮な卵を選ぶことを心がけましょう。新鮮な卵の見分け方のポイントをチェックしていきます。
表面がザラザラしている卵は新鮮で内部に細菌や微生物が侵入するのを防ぐクチクラ層が残っています。スーパーなどで実際に卵に触れて確認できない場合は、パックの上から表面の状態を確認してみましょう。
他の卵と比べて光沢がある場合は、卵が古く、クチクラ層が剥がれている可能性があります。
ただし、最近売られている卵は新鮮でも、サルモネラ菌を除去するための洗浄でクチクラ層が剥がれていることがあります。売り場にある他の卵にも光沢がある場合は、あまりクチクラ層を気にしなくても良いかもしれません。
新鮮で長期保存しやすい卵は照明に当てると、少し透明がかって見えると言われています。中がうっすらと透けている場合は、新鮮だと考えて良いでしょう。
スーパーなどで売られている卵は複数の卵がまとめてパックに入っているので、全ての卵の状態をチェックするのは難しいですが、いくつかの卵を確認すると安心です。
買ってきた卵の鮮度を確認したい場合は、水の中に卵を入れてみましょう。水に入れると、沈む卵は新鮮です。一方、古くなった卵は気質に空気が溜まって内部が軽くなるため、水に浮きます。水に入れても判断できない場合は、10%程度の食塩水に入れると、わかりやすいです。
なお、水に浸けた卵は鮮度にかかわらず、なるべく早く調理するのがおすすめです。
保存しすぎてうっかり賞味期限を切らしてしまった卵や賞味期限がわからなくなった卵の状態を知りたいときは、次のポイントを確認してみましょう。
■割った卵の黄身と白身の状態を見る
古くなった卵は黄身が崩れたり、白身が水っぽくなったりします。また、新鮮でない卵は白身の透明度が高いです。
■振ると音がする
古い卵は黄身や白身が小さく、空気が多いです。そのため、耳元で卵を振ると、シャカシャカと音がします。反対に、新鮮な卵は耳元で振ってもほとんど音が鳴りません。
■水に浮く
黄身や白身が小さくなって空気が増えた古い卵は軽いので、水に入れると浮き上がります。
■臭いや見た目が変化した
傷んだ卵は嫌な臭いがします。割った卵の臭いがおかしいと感じたら、すぐに捨てましょう。また、見た目に違和感がある卵も処分するのがおすすめです。
卵は冷蔵で保存する人が多いですが、冷凍保存もできます。冷凍保存すると、食感や味が変わり、おいしいという声も多いです。卵の冷凍保存について確認してみましょう。
卵の冷凍保存や解凍のやり方をご紹介します。
■卵を冷凍保存する方法
卵を冷凍保存する方法は2通りです。
殻を割らず、そのままの状態で冷凍します。冷凍保存すると、卵の中身が膨張して殻が割れやすくなるので、タッパーなどに丸ごと卵を入れて保存してください。
卵を割り、タッパーなどに入れて冷凍保存できます。
■卵の保存期間
卵を冷凍した場合、保存期間は1ヶ月程度です。冷凍でも長期間保存すると、品質が劣化したり、菌が繁殖したりしやすくなるため、なるべく早く使い切りましょう。
■卵の解凍方法
冷凍保存した卵は自然解凍してください。季節や室温にもよりますが、1時間程度で解凍できます。
卵は冷凍保存する際は、次のポイントに注意しましょう。
■食感や味が変化する
冷凍保存した卵を解凍すると、見た目は冷凍する前と同じようになりますが、食感や味が変わります。黄身はねっとりして白身はサラサラになり、味はクリーミーに感じます。卵かけご飯などにすると、普段とは違う食感や味を楽しめるでしょう。
■生食はすぐに食べる
冷凍の影響で卵の殻が割れると、サルモネラ菌をはじめとする雑菌が繁殖しやすくなります。冷凍保存した卵を生食する場合は、解凍後、すぐに食べましょう。解凍してから数日経った場合は、賞味期限内でも加熱するのがおすすめです。
冷凍保存した卵とオイルサーディンポテトを使ったおにぎらずはボリューム満点。栄養もあり、朝ごはんにもランチにもおすすめです。お弁当に入れると、黄身が映えて食欲がアップするでしょう。
冷凍保存した卵を豚バラ肉で巻いて焼き、みりんや醤油などで味付けるだけでできる照り焼きは簡単に作れておいしいのが魅力。おうちにある調味料でできるので、献立に迷ったときにも良いでしょう。
エッグベネディクトは手間がかかったり、難しかったりする印象ですが、冷凍保存した卵と食パンを使うと、簡単に作れます。できあがったエッグベネディクトの卵はクリーミーで贅沢な気分を味わえます。
冷凍保存した卵を使った天ぷらは黄身がトロトロになるのが特徴。卵とささみを使った親子天丼は簡単ですが、豪華で満足感もあります。野菜などの天ぷらを足すのも良いでしょう。
炒り卵はまとめて作り、冷凍保存できます。解凍後もほとんど食感や味の変化を感じないので、卵料理を長期保存したいときにおすすめです。炒り卵を冷凍しておくと、料理に色を添えられて食卓が華やかになります。
錦糸卵も冷凍保存が可能です。一般的なレシピで作ると、解凍後にパサつきを感じますが、少量のマヨネーズを加えておけば、食感の変化を予防できます。錦糸卵にするのが面倒な場合は、薄焼き卵を冷凍して、使う時に切っても大丈夫です。
人気の卵料理の一つである伊達巻きも自宅で作ったものであれば、冷凍で保存できます。一つ一つラップでくるみ、フリーザバッグやタッパーなどに入れて密閉してから冷蔵庫へ入れましょう。
スーパーなどで売られている伊達巻はいったん冷凍されたものを解凍して売られていることが多く、再び冷凍すると、味が落ちることがあるため、冷凍保存は避けましょう。
卵焼きは卵を使った料理の代表的存在。おいしいですが、ボリュームがあり、すぐに食べきれないこともあります。一度に食べきれない玉子焼きは冷凍保存しましょう。
■卵焼きの冷凍保存方法と解凍法
卵焼きは冷凍保存できますが、普段と同じレシピで作った卵焼きを冷凍庫に入れると、水分が抜けてぼそぼそとした食感になります。冷凍保存する場合は、だし汁などの余分な水分を使わず、水分のない顆粒だしなどを使って食感の変化を防ぎましょう。
また、保水力の高い砂糖や片栗粉を加えるのもおすすめです。卵焼きができたら常温で熱を取り、1食分ずつに小分けしてラップに包んだ後、タッパーなどに入れて冷凍してください。
■卵焼きを冷凍保存するときの注意点
卵焼きを冷凍保存するときは、卵にしっかりと火を通しましょう。半熟の卵焼きを冷凍すると、サルモネラ菌などで食中毒を起こす可能性があります。
卵はゆで卵にすると、保存できる期間が短くなります。保存方法やゆで方によって変わりますが、一般的には、3~4日程度しか日持ちしないと言われています。
■卵を日持ちさせるなら、生卵がベスト
卵白には、抗菌作用のあるリゾチームが含まれています。卵をゆでると、リゾチームの働きが抑えられるため、ゆで卵は日持ちしません。
そのため、卵をできるだけ日持ちさせたい人は生卵を冷蔵か冷凍で保存するのがおすすめです。
■冷凍したゆで卵は食感が変化する
ゆで卵も生卵と同じように冷凍できますが、冷凍したゆで卵は黄みの水分が抜けてパサパサになります。硬くなり、おいしくないので、ゆで卵の冷凍保存はできるだけ避けた方が無難です。
ゆで卵は長期保存には向きません。どうしてもゆで卵を日持ちさせたい人は、調味料を使ってアレンジし、食感の変化を予防するのがおすすめです。ゆで卵を長期保存できる料理をご紹介します。
ゆで卵は調味料に浸すと、長持ちするようになります。ゆで卵を調味料に浸すだけでできる味付け玉子は冷蔵保存できて、食感の変化も気になりません。まとめて作っておくと、ラーメンやお弁当などにも使えます。
ゆで卵を保存したいときは、フィリング状にするのもおすすめです。ゆで卵フィリングはマヨネーズの油分で卵の表面をコーティングするため、水分の蒸発を防げます。また、卵を細かく潰すことで、食感の変化もわからなくなります。
作ったゆで卵フィリングを小分けしておくと、サンドイッチはもちろん、サラダやタルタルソースなどにもアレンジできます。
いつもの料理に足したり、お弁当に入れたりできるうずらの卵はどれくらい保存できるのでしょうか。うずらの卵の賞味期限について見ていきます。
うずらの卵の賞味期限は最大で21日。一般的に、スーパーで売られているうずらの生卵は夏で2週間、冬で3週間程度に賞味期限が決められています。ただし、うずらの生卵を安全に保管できる日数は季節や保存場所によって違います。
うずらの水煮の賞味期限は商品によって違います。袋入りのチルドは賞味期限が冷蔵で約1か月半ですが、袋入りのレトルトは常温で約半年日持ちします。缶詰はさらに賞味期限が長く、常温で2年ほど保存が可能です。
なお、燻製液に浸けたうずらの水煮の賞味期限は5か月程度に設定されているものが目立ちます。
うずらの卵は鶏卵と同じように加熱調理後よりも生卵の方が長期間保存できます。加熱すると、リゾチームの働きが抑えられて傷みやすくなるため、料理に使ったら、なるべく早く食べきるのがおすすめです。
■賞味期限切れのうずらの卵は食べられる?
うずらの卵の賞味期限も生卵を安心して食べられる期限です。万が一、賞味期限が切れてしまったら、しっかりと加熱して早めに食べましょう。
ウズラの卵を使った照り焼きスコッチエッグは冷凍で約1か月間日持ちする保存食。揚げるレシピが一般的ですが、簡単に作りたい時は油で焼いて蒸してみましょう。ニンニク入りの照り焼きソースで味付けすると、ごはんが進む味になります。
うずらの卵を日持ちさせたい人はピクルスを作るのも良いでしょう。ピクルスを作り置きしておけば、忙しいときでも栄養バランスの整った食事を摂れます。できあがったピクルスは清潔なビンに入れて冷蔵庫で保存してください。
うずらのゆで卵も調味料に浸けると、長期間保存できるようになります。醤油やみりん、ニンニクなどで味付けした煮卵はご飯にのせるだけでもおいしいでしょう。簡単に作りたいときはめんつゆを使うのもおすすめです。
卵は比較的、長期間保存できる生鮮食品です。基本は冷蔵保存ですが、常温や冷凍でも保存できます。正しい方法で保存して卵を長持ちさせましょう。