格式が高い印象のある和室は、振る舞いやマナーなどにも気を使いますよね。そこで今回は、座布団の座り方や入室の仕方、歩き方や退室の仕方など、和室のマナーをご紹介します。
【目次】
現代は、和室のある家も減ってきており、和室に馴染みのない方も少なくないと思います。しかし、飲食店や旅館、他人の家にお呼ばれした際などには、和室に通されることもあります。
和室も、洋室と同様に、上座や下座などの席次のマナーがあります。ビジネスマナーでも重要視されていますので、目上の人と同席する場合は特に注意したいですね。
和室の上座は、床の間側になります。床の間がない和室の場合は、入口から一番遠い席が上座になります。
和室の下座は、入口に一番近い席になります。
和室に案内され、特に席を指定されない場合は下座に座っておきましょう。座布団に案内された場合は、案内された席に座ります。
洋室の場合は、椅子に座るものですが、和室の場合は、畳や座布団の上に正座するのがマナーです。
■他人の家を訪問した場合は挨拶を済ませてから座布団に座る
ただし、他人の家を訪問し、和室に通された場合は、すぐに座布団に座るのはマナー違反です。まずは、座布団の横に座って、相手を正面を見据えて挨拶を行いましょう。背筋を伸ばして、両手の人差し指を自分の前の畳に付けるようにして頭を下げるときれいに見えますね。
挨拶を終えたら、紙袋や風呂敷から手土産を出して、正面を自分の方に向けて畳の上に置きます。紙袋や風呂敷を畳んで、自分の下座に置いたら、手土産の正面を相手の方に向け、畳の上を擦るようにして、両手で相手に渡しましょう。この時「お口に合えばいいのですが」「ほんのお気持ちです」などのように一言添えるのがおすすめです。「つまらないものですが」という謙遜は、「つまらないものを相手に渡す」ということになり、失礼になるケースもありますので注意したいですね。
後は、相手に「座布団をどうぞ」と勧められたら「失礼いたします」と言って座布団の上に正座しましょう。
■座布団の座り方のマナー
また、座布団の座り方にもマナーがあります。
座布団に座るときや、座布団から立ち上がる時は、足の裏を座布団に乗せるのはマナー違反です。座布団の下座から45度斜め辺りに膝をつきます。
次に、手で握りこぶしを作って座布団の前の二つの角辺りに手を置いて体を支えながら、体を浮かせて片膝ずつ座布団の真ん中に移動し、正面を向きます。
座布団を動かしたり、向きを変えるのもマナー違反とされていますので注意したいですね。
■ふすまの開け方
和室の入室のマナーで注意したいのが、ふすまの開け方です。
ふすまは、立ったまま開けるのはマナー違反です。ふすまの前につま先を立てて正座し、ふすまを開けます。
また、ふすまは、一気に開けるのはNGです。ふすまは、3回に分けて開けるのがマナーとされています。入る前に「失礼いたします」と声をかけましょう。
①引き手に手をかけ、10cm程度ふすまを開ける
②次に、引き手からふすまの淵に手を添わせるようにして敷居の20cm程度上まで下ろし、自分の体の真ん中辺りに来るようにふすまを開ける
③最後に、今使っていた手ではない手を使って、自分が通れる程度までふすまを開ける
のような手順でふすまを開けます。
後は、立てていたつま先を寝せて正座し直して、一礼してから入室します。
スリッパを履いている場合は、先に部屋の下座のふすまを開けてから、部屋の方を向いたままスリッパを脱ぎます。次に、上座に背を向けないように注意しながら斜めに向いてしゃがみ、スリッパを脇に寄せます。
■入室は
部屋に入室する場合も、厳密には下座の足から入るのがマナーとされています。例えば、右側に上座がある場合は、左足から入室します。
■ふすまの閉め方
部屋に入室したら、再びふすまの前に座り、ふすまを閉めます。
ふすまの閉め方は、ふすまを開ける場合の手順の逆の動作を行えばOKです。
ふすまの方に向かってつま先を立てて座り、ふすまに近い方の手でふすまの敷居の20cm程度上の淵をつかみ、自分の体の真ん中辺りに来るように閉めます。
今度は逆の手で淵をつかみ、10cm程度隙間が開くように閉めます。最後に引き手に手をかけ、ふすまを静かに閉めます。
和室では、敷居や畳のへりを踏むのはマナー違反とされています。敷居やへりを踏んではいけないのは、畳や敷居の劣化を予防するための気遣いと言われています。
歩くときは、なるべく足音を立てないようにするのもマナーですね。
上座を見下ろすのも失礼となりますので、歩く場合の目線は伏し目がちにするのがマナーとされています。
和室で退室する場合は、最後の挨拶を座布団の上で行うのはNGマナーです。
座布団の下座の畳の上で正座し、「本日はありがとうございました」などのようにお礼を言います。ただし、座布団の上で立ち上がるのではなく、下座側から片膝ずつずらして、座布団の下座に移動しましょう。
後は、入室した場合と同じように、ふすまの開閉を行い、退室します。
コートや手袋、マフラーや帽子などは、玄関から出てから身につけるようにしましょう。相手に勧められた場合は、コートのみ玄関で着てもOKです。
社会人になると、和室で接客することもありますよね。
和室でお茶出しをする場合は、洋室でお茶出しをする場合のマナーと共通していることが多いですね。例えば
・入室してからサイドテーブルや下座で茶托に湯飲みをセットする
・お茶は、相手の右後方から両手で茶托を持って出す
・上座のお客様からお茶を出す
・お茶菓子がある場合は、先にお客様の左側にお茶菓子を出してから、お客様の右側にお茶を置く
などは、洋室でも和室でも共通しているマナーです。
ただし、机やテーブルがない場合は、畳の上に茶托に乗せた湯飲みを置いてもマナー違反にはなりません。
和室のマナーは、洋室とは違った色々な作法があります。ぜひ、食事会や旅館、他人の家などで和室に通された場合は、和室のマナーを意識してみてくださいね。