仏壇のお参りの仕方にはさまざまな作法があります。今回は、線香の火の付け方やお供えの仕方など、仏壇にお参りする際のマナーや注意点をご紹介します。
仏壇にお参りをする作法には決まりがあり、気をつけたいマナーもあります。
お盆やお彼岸、年末年始などで、他人の家にお邪魔した際に仏壇にお参りをする機会もありますので、自宅に仏壇がない方も、ぜひ祈り方や基本のマナーは頭に入れておきましょう。
■朝食前の仏壇のお参りの作法
仏壇のお参りは、朝食前と就寝前に行います。数珠がある方は、数珠も手に持ちお参りをしましょう。
朝食前のお参りは、洗顔し身支度を整えてから、行います。
①一礼し、手を合わせて合掌をし、閉めていた仏壇の扉を開けましょう。
②仏壇についているゴミやホコリを払いましょう。
③用意していた仏飯と、水かお茶、お花などをお供えします。
④仏壇の前に正座し、ロウソクに火を灯しましょう。
⑤お線香にロウソクで火を灯しましょう。
⑥数珠を手に持ち、合掌します。
⑦お鈴を鳴らし、お経を唱え、最後にまたお鈴を鳴らします。
⑧合掌し、ロウソクの火を消しましょう。
⑨自分が朝食を食べ終えたら、お供え物を下げます。
■就寝前の仏壇のお参りの作法
就寝前のお参りは
①仏壇の前に正座し、ご本尊に一礼します。
②ロウソクに火を灯したら、お線香に火を灯しましょう。
③数珠を手に持ち、合掌し、一日の報告や感謝の気持ちを伝えます。
④お鈴を鳴らし、お経を唱え、最後にまたお鈴を鳴らします。
⑤合掌し、ロウソクの火を消しましょう。
⑥お供え物を下げ、仏壇の扉を閉めます。
■日中の仏壇のお参りの作法
また、他人の家に訪問した場合や、訪問客が来た場合、昼間に仏壇の掃除をする場合などは、
①仏壇の前に正座し、ご本尊に一礼します。
②お供え物をお供えします。他人の家でお供えする場合は、家族に声をかけてからお供えをします。
③ロウソクに火を灯したら、お線香に火を灯しましょう。
④合掌してお題目(念仏)を唱えましょう。
⑤仏壇の前で一礼し、下がります。
■お題目に注意
お題目(念仏)は、宗派ごとに違いがあります。したがって、他人の家に訪問して、仏壇にお参りする際や、法事や葬儀に参列した際に、違う宗派のお題目を唱えないようにしましょう。
・浄土宗や浄土真宗:南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)
・曹洞宗や臨済宗 :南無釈迦牟尼仏(なむしゃかむにぶつ)
・真言宗 :南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)
・日蓮宗 :南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)
などが一般的です。
■お鈴(りん)の鳴らし方
また、仏壇に置いてあるお鈴(りん)ですが、礼拝する際にはりんを鳴らさないという宗派もあります。
宗派によっても異なりますが、りんは、お経の前後に鳴らす宗派もあります。むやみに鳴らすとマナー違反となることもありますので注意したいですね。
・真言宗 :2回鳴らします。1回目は優しく、2回目は少し強く鳴らします
・曹洞宗 :3回鳴らす場合と、りんの内側を2回鳴らす場合があります
・浄土宗 :読経時にのみ鳴らします
・浄土真宗:勤行の時にだけ鳴らします
などが一般的ですが、お寺によっても異なりますので、確認してみましょう。
■座布団は
また、座布団に座る場合には、座布団の上に足の裏を付けて座らないようにするのがマナーです。また、用意されている座布団をずらすのもマナー違反とされていますので注意したいですね。
座布団の座り方は、周りに遺族がいる場合は、お参り前に一礼し、座布団の斜め後ろの下座に立ちます。まずは、両膝を座布団の縁辺りに乗せてから、両手の握りこぶしで体を支えながら、膝をずらしながら座布団の上に移動するとスマートですね。
座布団から離れる場合も、立ち膝になり、座布団の斜め後ろの下座につま先を立てて、座ります。膝をずらしながら座布団の下座に移動し、正面を向いてから、遺族に一礼し、立ち上がって移動しましょう。
線香の火の付け方は、ロウソクの火から灯すのがマナーです。
マッチやライターなどで直接線香に火をつけるような事はやめましょう。
また、仏壇にお参りする際の線香の本数やお供えの仕方も、宗派によって異なります。
・曹洞宗、浄土宗:お線香1本を立ててお供えします。
・真言宗 :お線香3本を立ててお供えします。ただし、奥に1本立て、手前に2本立て、正三角形になるように立てます。
・天台宗 :お線香を3本立ててお供えします。ただし、手前に1本立て、奥に2本立て、正三角形になるように立てます。
・浄土真宗 :お線香1本を香炉の幅に合わせて折り、火のついている方を左にして香炉の上に寝かせて置きます。
などが一般的ですが、同じ宗派でもお寺によって違いがある場合があります。
ロウソクの火は、息をかけて吹き消さず、手で煽って風を送って消すか、ロウソク用の火消しを使用するのもマナーです。
仏壇にお参りする際に、お供え物をお供えする場合にも、注意点やマナーがあります。
例えば、お供え物を置く場合の向きは、ご本尊様が見やすい向きではなく、お参りする自分や遺族側が見やすい向きに置くのがマナーです。
■お供え物の種類
また、お供え物は、五供(ごく)と言われる5種類のものが望ましいとされています。
・香:お線香
・花:お花
・灯燭:ロウソク
・浄水:お水、お茶
・飲食:日持ちするお菓子や餅、果物や野菜、米
の5種類ですね。飲食物は、故人の好きだった食べ物や飲み物がおすすめです。
腐りやすいものや、においのするもの、殺生を連想させる生ものや肉、魚、トゲや毒のある花は避けましょう。鉢植えも「不幸が根付く」ことを連想させるのでやめましょう。派手な色のものもふさわしくありません。
■お金をお供えする場合
お金をお供えする場合、宗派や地域によって違いがありますが、黒色と白色の結び切りか、水引や黄色と白色の水引の上に「御仏前」「御佛前」「御供物料」と書いてある香典袋を使用し、お供えするのが一般的です。
仏壇をお参りする際には、失礼がないように、マナーや作法を守ることが大切です。宗派や地域によっても色々な違いがありますので、注意したいですね。