お通夜やお葬式に参列する際には、お悔やみの気持ちを示す香典を持参するのがマナーです。そこで今回は、香典袋の選び方や書き方、香典の金額の相場をご紹介します。
【目次】
■香典とは
「香典」とは、亡くなった方のご霊前にお供えをするものです。お通夜や、告別式や葬儀などのお葬式、法事や法要などの際にお悔やみの気持ちを込めてお金を包んで持参するもので、「不祝儀」とも呼ばれています。香典をいただいた遺族は「香典返し」を贈るのがマナーです。
香典には、宗教や宗派、地域や年齢、故人との関係などによってさまざまなマナーがあります。香典は、線香やお花、果物やお菓子、飲み物などのお供え物の替わりとしてお供えするものですが、法事や法要の際には、香典とは別にお供え物を持参する場合もあります。
香典を入れる香典袋の表書きや水引きの色、デザインは、仏式や神式、キリスト教式などの宗教や宗派、地域などによって異なります。
■お通夜やお葬式に参列する場合
連絡を受けたらお悔やみの言葉を述べ、お通夜やお葬式の日時や場所、宗教などを確認します。
例えば、お通夜と葬儀のどちらにも参列する場合には、通夜か葬儀のどちらかに香典を持参します。ただし、記帳は通夜と葬儀の両方で行います。
仏教の場合は、白黒、もしくは双銀の結び切りの水引きの上に「御霊前」「御香典」「御香料」などと書いてある香典袋を使用します。宗派がわからない時は「御霊前」と書いてあるものを使用しましょう。ただし、浄土真宗の場合は、御霊前ではなく「御仏前」を使用します。
神式の場合は、白黒、もしくは双白や双銀の結び切りの水引きの上に「御神前」「御玉串料」「御榊料」「御霊前」などと書いてあるものを選びます。ただし、無地のものが神式の香典袋です。
水引きの色は、香典の金額に合わせるのがマナーです。香典の金額が、三千円や五千円の場合は、略式の黒白の水引きを使います。香典の金額が1万程度の場合は、黒白の水引きを使いましょう。香典の金額が3万円以上の場合は双銀の水引きを使うのが一般的です。
キリスト教の場合は、「御霊前」もしくは「御花料」を使用しましょう。百合の花や十字架などが描かれている香典袋はキリスト教式用になります。蓮の花が入っているものは仏教で使用する香典袋になりますので、キリスト教の場合には使用できません。
■法事や法要の場合
法事や法要に参列する際には、四十九日以降は黒白または黄白の水引きの上に「御仏前」「御佛前」「御供物料」と書いてある香典袋を使用します。
■表書き
お通夜や葬儀の際に香典袋を持参する場合は、水引きの下の中央に薄墨の毛筆や筆ペンでフルネームを書くのは、どの宗教や宗派でも同じです。薄墨は「悲しみで墨がにじんだ」というお悔やみの気持ちを示すマナーです。
キリスト教の場合は水引きがありませんが、不祝儀袋の下段の中央にフルネームを書きましょう。
会社名を書く場合は、名前の右上に名前よりも小さな字で書きます。
夫婦で連名にする場合は、夫の氏名だけでもOKです。故人と近い間柄の場合は、中央に夫の氏名を書き、隣に妻の名前を書きます。結婚したばかりであっても、旧姓ではなく、新しい姓にするのがマナーです。ただし、中袋の氏名を書いた横に旧姓を書き添えてもOKです。
妻が代理で会葬する際は、夫の氏名の左下に小さく「内」と書きます。会葬者名簿に記帳する際にも、同じように書きましょう。
会社や友人同士などで連名にする場合は、目上の人から順に右から左にフルネームを書いていきますが、連名は三名までにするのがマナーとされています。人数が多い場合は「〇〇一同」と省略するようにしましょう。
仕事関係で代理で会葬する際は、氏名の左下に小さく「代」と書きます。会葬者名簿に記帳する際にも、同じように書きましょう。
■中袋の書き方
香典袋の中袋には、裏に自分の住所とフルネーム、金額を書きます。金額は、漢数字を使用するのがマナーとされています。
一は「壱」、二は「弐」、三は「参」、五は「伍」、千は「仟」、万は「萬」、円は「圓」などのように書きます。
例えば、
一万円の場合は「金壱萬圓」
五千円の場合は「金伍仟圓」
三千円の場合は「金参仟圓」と書きましょう。
中袋がない香典袋の場合は、香典袋の裏の左下に自分の住所と金額を書きましょう。
香典袋に包む金額は、お悔やみの気持ちを示すものですので、少なくても失礼にあたりますが、多すぎても遺族に気を使わせてしまいます。
故人との関係や自分の年齢、収入などによって変動します。町内会や会社、友人関係の場合は、年齢による違いはあまりありません。親族に香典を包む場合は、20代や30代と比べると、50代以降の方が一万円前後多く包むのが一般的となっています。
迷った場合は、周囲の人に相談してみましょう。
お通夜やお葬式での香典の金額の相場は
ご近所の場合:三千円~五千円
友人や仕事関係の場合:五千円~一万円
叔父や叔母などの親戚の場合:五千円~一万円
祖父母の場合:一万円~三万円
兄弟姉妹の場合:三万円~五万円
親の場合:五万円
となっています。
そして、香典の場合も、ご祝儀と同じように、縁起の悪い数字は避けるのがマナーです。例えば、
・割り切れることから「縁が切れる」ことを連想させる「二」のような偶数
・三は「みじめ」
・四は「死」
・九は「苦」
などの数字を避けた方がいいですね。
また、香典袋に包むお札は、「亡くなるのを待って準備していた」ということを連想させるため、新札を使用するのはマナー違反です。どうしても新札しか用意できない場合は、新札に折り目をつけてから包みましょう。
お金の入れ方は、お札を揃えたら、香典袋の表から肖像画が見えないような向きにして、肖像画が下に来るような向きで袋に入れます。
香典袋の折りは、上の折りを下の折りに被せるようにします。
■新生活とは
群馬県や北関東の一部の地域では、受付に「新生活」と表示されている場合があります。新生活は、香典の金額を少なくする代わりに、香典返しを辞退する風習です。
新生活で包む金額は、千円~五千円程度となっています。香典袋の書き方は、袋の表書きの左脇に「新生活」と書きます。新生活の風習がある地域では、新生活用の香典袋を購入できますよ。
香典袋を渡す際には、受付で「このたびはご愁傷様でございます」のようなお悔やみの言葉を述べ、記帳をします。
記帳を終えたら、ふくさから香典袋を取り出して、「御霊前にお供えください」と一言添え、相手に字が見やすい向きになるようにして香典袋を両手で渡します。
香典は「ふくさ」に入れて持参するのがマナーです。ふくさは灰色や紫色のものを使用しましょう。
■参列できない場合
お通夜やお葬式に予定が合わず参列できない場合は、先に弔電でお悔やみの言葉を述べ、後から香典を郵送しましょう。香典を郵送する場合は、現金書留でお悔やみの手紙と一緒に送りましょう。
お悔やみの気持ちを示す香典は、香典袋の選び方や書き方にマナーがあります。また、香典の金額も、故人や遺族との関係に合わせて、少なすぎないように包むことも大切ですね。