化学繊維の一種類であるナイロンは、熱に弱く、溶ける可能性があるので、アイロンがけする際には注意が必要です。そこで今回は、ナイロンのアイロンがけの温度や、注意点、アイロンなしでシワを取る方法をご紹介します。
■ナイロンとは
ナイロンとは、石油を原料にして作られる化学繊維です。
さらっとした着心地でシワになりにくく、丈夫で、ニットのように伸び縮みしてしまうことも少ないので、扱いやすいのが魅力です。また、速乾性があるアイテムも多いのもメリットです。
女性用のストッキングやタイツ、マウンテンパーカーやジャンパー、ジャケット、ダウンジャケット、スポーツウェアなどに使われている素材で、カーペットやソファーカバーなどにも使用されています。
また、バックパックやテント、パラシュートなど、アウトドア用品に多く使われている「リップストップナイロン」や「コーデュラナイロン」のように、軽くて強度が求められるようなアイテムには、他の素材と織り混ぜて使用されている場合もあります。
ただし、ナイロンは熱に弱いので、安易にアイロンがけをしてしまうと、生地を傷めてしまったり、溶ける可能性もあります。
ストッキングやタイツなどが伝線することが多いように、静電気が発生しやすいのもデメリットです。
■品質表示をチェックする
熱に弱いナイロン素材ですが、アイロンがけができるかどうかは、洋服の品質表示を確認しましょう。洋服によっては、アイロンがけが禁止されている場合もあります。
また、品質表示には、アイロンの温度設定についても指定されていることがあります。ナイロンにアイロンがけをする場合、一般的には、アイロンの温度は低温の80度~120度に指定されていることが多いですね。
■当て布をする
そして、ナイロン素材にアイロンがけをする場合は、アイロンを直接当てず、当て布を被せた上からアイロンがけを行うようにします。品質表示に当て布が指定されていない場合でも、当て布を使用することで、熱が伝わりにくくなり、生地のテカリや伸び縮み、傷みの予防になります。
当て布は、綿の白無地の大きなハンカチや手ぬぐいでも代用できます。
■できるだけ短時間でシワが目立つ部分のみにアイロンがけをする
ナイロン素材のアイテムは、シワが目立つ場所にのみアイロンがけをすると、他の場所が傷みにくくなりますし、テカりにくくなります。
アイロンの温度を低温に設定するか、品質表示に記載されている温度に設定します。
まずは、乾いた当て布を洋服の目立たない場所に被せ、アイロンがけをしてみて、傷みやテカリがないかどうかを確認してから、アイロンがけをしていきます。
アイロンがけは、できるだけ短時間で行います。傷みやすい場所は、洋服の裏からアイロンを当てましょう。
まずは、洋服を霧吹きで湿らせ、水で濡らした当て布を使用してアイロンがけしてみましょう。アイロンを当てたら、しばらく待ってしっかり冷まします。
シワが取れていないようでしたら、もう一度洋服を霧吹きで湿らせてから、今度は乾いた当て布を当ててアイロンがけを行います。
■ナイロン素材にアイロンプリントをする場合は
ナイロンのジャンパーにアイロンプリントをするような場合も、洋服の品質表示を見て、アイロンがけができるかどうかを確認してから行いましょう。
アイロンの温度はできるだけ低温にします。
また、洋服に負担をかけないよう、低温で圧着できるアイロン用のプリントシールを使用するのもおすすめです。
あらかじめ印刷面にアイロンで熱を加えてから、生地に低温で圧着させるとプリントしやすくなります。
撥水加工されているアイテムは、アイロンプリントがすぐに剥がれてしまうことがあります。また、洋服の染料がアイロンやプリント部分に染み込んでしまうこともありますので注意が必要です。
また、できるだけナイロン素材の劣化を防ぐためには、アイロンなしでシワを伸ばす方法を活用することも大切です。
アイロンがけをしなくても、一度ナイロン素材のアイテムを濡らして、手でシワを伸ばし、再度干すだけでも、アイロンがけしなくて済む場合もあります。
■洗濯の仕方を工夫する
そして、洗濯する場合にも、他のアイテムと絡まってしまわないようにします。
洗濯前に、ボタンやファスナーは全て外し、裏返してから畳んで洗濯ネットに入れて洗いましょう。
柔軟剤で仕上げをすることもシワ予防に効果的ですよ。
■脱水後にすぐ干すことも有効
ナイロンは、シワがつきにくい素材なので、脱水時間を短くし、脱水後はすぐに干すようにするだけでも、水の重みで自然とシワが軽減され、アイロンがけしなくて済む場合があります。
ナイロン素材のアイテムを干す前には、洋服を広げてバサッバサッと10回程度振って大まかにシワを取ります。あとは、手で引っ張ったり、手でプレスしてシワを取ります。
■しわ取りスプレーも使える
また、しわ取りスプレーを使用するのもおすすめです。しわ取りスプレーを噴射した後は、手で引っ張ったり、手でプレスしてシワを取り、形を整えて乾燥させます。
■収納の仕方にも気を配る
また、ナイロン素材は、できるだけシワがつかない状態で収納しておくことも大切ですね。
ハンガーにかけずに、畳んで収納する場合は、他の洋服の重みでシワがつかないように、ケースの上の方に収納するか、縦入れにするのがおすすめです。
熱に弱いナイロン素材にアイロンがけを行う場合は、当て布を使用し、低い温度ですばやくシワを伸ばす必要があります。ナイロンにアイロンがけをする際は、生地を傷めないよう、注意したいですね。