法事や法要の前に準備することはたくさんありますが、中でも祭壇の飾りつけやお供え物の準備は重要です。そこで今回は、法事の祭壇の一般的な飾り方や注意点、お供え物をご紹介します。
「法事」とは、亡くなった方のご冥福を祈り、供養する法要と、法要の後に行う会食(お斎)のことを言います。
法事の際には色々な準備がありますが、その中の一つに、祭壇やお供え物の準備が挙げられます。
祭壇(仏壇)の準備は、法事を自宅で執り行う場合に必要です。特に、四十九日まで遺骨や位牌や遺影を祀る祭壇の「中陰壇」は、馴染みのないものですので、何を準備すればいいのか悩みますよね。祭壇は、一般販売されていますので購入してもいいですし、レンタルも可能です。
法事用の会館で法事を行う場合には、祭壇の準備は必要なく、お供え物もセット内容に含まれていることも少なくありませんので、忙しい方におすすめです。
お寺で法事を行う場合には、本堂にお供えする品物や準備物をあらかじめ住職に相談するのがおすすめです。
法事や法要に参加する際、一体何を持参すればいいのでしょうか。
地域によって異なりますが、一般的に必要なものをご紹介します。
法事や法要にまず必要になってくるのが数珠、そして香典です。
また、法事・法要に参加する際に持っていくと便利なものは白か黒のハンカチ。
外にお墓参りに行く場合は折りたたみの傘なども準備しておくと、いざという時に重宝します。
法事を自宅で行う場合や、祭壇にお供え物を供える道具が必要になります。法事の祭壇は、四十九日を過ぎているかどうかだけでなく、必要な道具の数や種類は、宗教や宗派によって異なりますが、代表的なものをご紹介します。
■高坏(たかつき)
例えば、高坏は、細い1本の脚の上に平らな器が付いているような形の道具で、お供え物のお菓子や果物を置く際に使用されます。
■段盛(だんもり)
段盛は、棚のような形状のお供え物を置くための道具で、格段に1個ずつお供え物を置くことができます。お菓子をお供えする際に使用することが多いですね。
■供笥(くげ)
供笥も、お供え物を置くための道具で、浄土真宗で使われるものです。
■半紙
高坏や段盛にお供え物を置く際には、半紙を下に敷いてからお供え物を上から載せます。
■仏飯器や仏器
仏飯器や仏器は、仏飯を盛り付ける際に使用される仏具です。宗派によって差があり、1個~4個必要になります。
■お供え膳やお霊供膳
お供え膳やお霊供膳は、法事やお盆の際に使用するミニサイズのお膳です。
ご飯と一汁三菜か一汁五菜をお供えするのが基本で、精進料理をお供えします。
左奥:平椀(煮物)
右奥:壷椀(和え物)
中央:高杯(漬物や香の物)
左手前:飯碗(炊きたてのご飯)
右手前:汁椀(汁物やお吸い物)
手前:お箸
献立は肉・魚などを避けた精進料理が基本です。
■その他
その他にも
・ろうそくや燭台
・香炉
・線香や線香立て
なども掃除を行い、準備しておきましょう。
法事を行う際に祭壇に供える「お供え物」には、いくつかのルールがあります。
■お餅やお菓子
お餅やお菓子のお供え物は「おけそく」と呼ばれています。
例えば、お供え物の定番である「お菓子」は、法事の後に参列者で分けることがありますので、個包装のものがおすすめです。箱から出して高杯のような仏具に盛り付ける場合も便利ですね。
・どらやき
・最中
・饅頭
・羊羹やゼリー
・生クリームのついていないマドレーヌのような焼き菓子
などがおすすめです。
■果物
法事の際のお供え物の定番となっているのが、果物です。
お寺で法事を行う際には、フルーツの詰め合わせのカゴ盛りセットを購入するのがおすすめです。
自宅や法事用の会館で法事を行う際にも、フルーツのセットはそのまま飾ることができるので便利ですね。
箱詰めの果物は、箱から出して、供物台や高杯に盛ります。
果物は
・縁起が良いとされる丸い形のもの
・日持ちするもの
などがおすすめです。季節に合った旬の果物もいいですね。
■本堂にお供えするお花
お寺で法事を行う場合には、本堂のご本尊様にお供えする生花が必要になります。本堂用のお花は、ボリュームがあるものがふさわしいので、生花店で購入する場合には、本堂用だと言うことを忘れずに伝えましょう。
そして、お寺によって、生花が一対必要な場合と、二対必要な場合があります。法事の前にお寺に確認するようにしましょう。
なお、法要の後にお墓参りをする場合は、お墓にお供えする生花も必要になります。
ただし、毒やトゲのある花や、匂いの強い花、鮮やかな色の花は弔事には不向きです。
お寺や法事用の会館で法事を行う場合には、祭壇は準備されており、お供え物を準備して、当日にお供えするのが一般的です。
しかし、自宅で法事を行う場合には、祭壇の飾り方に注意が必要です。まず、法事の祭壇の準備をする前に、部屋や仏壇などの掃除を行います。
■中陰壇の場合
四十九日までの期間に飾る祭壇の「中陰壇」は、宗教だけでなく、曹洞宗や真言宗、浄土宗や浄土真宗、日蓮宗などの宗派によって違いがあります。道具の数や飾り方に厳密な決まりはありませんが、一般的には、三段の祭壇を仏壇の前か脇に置き、
・上段:左から遺影、位牌、遺骨
・中段:仏飯、お茶やお湯、お供え物
・下段:左から一輪挿し、香炉、お鈴、燭台、線香立て
などのように飾ります。ただし、中陰壇は、葬儀を依頼した葬儀社のスタッフが飾り付けを行ってくれます。あとは、四十九日が過ぎるまで、ご飯やお水、お茶、生花、お菓子や果物、お膳などをお供えします。
■一周忌以降は
一周忌以降の法事では、中陰壇は使用せず、仏壇を飾りつけします。
仏壇の上の段から
①ご本尊様の両脇に脇侍
②中央の仏飯器の両脇に位牌、さらにその両脇に高杯を置く
③香炉の両脇に燭台、さらにその両脇に花瓶、右端に過去帳を置く
場合によっては、布製の敷物である「打敷」を敷く
④1セットもしくは2セットの霊供膳
と飾ることが多いですね。さらに、手前に左からマッチ消し、線香立て、前香炉、お鈴、木魚を置きます。
参列者からいただいたお菓子やお酒、果物などのお供え物は、仏壇にはお供えせず、仏壇の脇に用意しておいたお供え物用の台や小さい机に置きます。のし紙の文字が参列者に見やすい向きにお供えするのがマナーです。
法事や法要の前に祭壇を準備する際には、あらかじめ掃除を済ませ、お供え物も揃えておく必要があります。法要は、故人の冥福を祈り、供養するために大切なことですので、スムーズに執り行われるよう、しっかり用意をしておきたいですね。