退職前に後任者に業務の引き継ぎを行うことは、在職中の重要な仕事です。そこで今回は、退職までの引き継ぎ期間や手順、引き継ぎが間に合わない場合の対処法などをご紹介します。
■法律上は2週間で退職もできるが
担当している業務を後任者にしっかりと引き継ぎをしてから退職することは、社会人として重要な仕事です。法律上は、退職届を提出してから、最短で2週間で退職することが可能とされています。しかし、2週間で退職をすると、有給休暇を消化する場合は、ほとんど引き継ぎをしないまま退職することになってしまいます。
■会社の就業規則もチェック
また、会社の就業規則では「1ヶ月前までに退職届を提出する」などのように取り決めがある場合もあります。
■引き継ぎ期間を考慮して退職日を決めよう
退職する際に引き継ぎに必要な期間は、仕事内容によっても異なります。しかし、後任者がすぐに見つからない場合や、業務内容が多い場合は、退職までの引き継ぎ期間が1、2週間では不十分なケースも少なくありません。
後任者への引き継ぎが不十分で業務に支障が出ると、社内の人だけでなく、取引先やお客様にも迷惑を掛けてしまいます。引き継ぎ期間が短いと、社内の人から反感を買い、退職までの期間に気まずい思いをしながら働くことにもなります。
自分が辞めた後も、後任者が滞りなく仕事をこなせるように引き継ぎを行うことは、同僚だけでなく、取引先やお客様に迷惑が掛からないようにするための義務と言っても良いかもしれませんね。
したがって、円満に退職するためにも、引き継ぎ期間は1ヶ月以上確保するようにしたいですね。一般的には、退職届を提出してから、1ヶ月半~3ヶ月後に退職する方が多いようです。
■有給休暇が残っていないかどうかもチェック
また、引き継ぎ期間だけでなく、年次有給休暇も退職前に消化する必要があります。条件を満たせば、正社員の方だけでなく、派遣社員や契約社員、パートやアルバイトの方も有給休暇が付与されています。
引き継ぎだけでなく、有給休暇を取得し終えてから退職できるのが理想ですね。
■転職先にも退職日を考慮してもらおう
すでに転職先が決まっている場合でも、引き継ぎ期間を考慮に入れて、入社日を1ヶ月後~2ヶ月後に設定してくれる会社も多いですね。
退職までの日数が短いと「きちんと引き継ぎをしない人」「あまり重要な仕事を任されていなかったのだろうか」などのマイナスなイメージを持たれてしまう可能性もありますので、引き継ぎ期間を設けることは重要です。
退職する際の引き継ぎは、短い期間で多くの業務内容を伝える必要がありますので、漏れがないようにしたいですね。
■引き継ぎ期間は上司と相談
退職することを決めたら、まずはできるだけ早く上司に退職の意思を示し、
・引き継ぎ期間や内容
・有給休暇の取得
・最終出勤日
・退職日
などのスケジュールを相談しましょう。後任者が決まっていない場合は、すぐに引き継ぎができないケースもありますので、引き継ぎ内容の資料作成に早めに取りかかりましょう。
■クライアントに挨拶を
上司や同僚に退職の意思を伝えたら、取引先やお客様に、後任者と一緒に挨拶に伺いましょう。後任者と一度顔を合わせておくと、その後の仕事もスムーズに進みやすくなります。もし直接挨拶に伺えない場合は、手紙やメールで挨拶をしておきたいですね。
これまでのお礼と、担当者が変わっても今まで通りに取引を行っていただけることを伝えて、安心してもらえるように話をしましょう。
■後任者への引き継ぎは
関係者への挨拶の合間に、後任者への業務の引き継ぎを行っていきます。引き継ぎは、口頭で説明をし、必要な書類の説明を行い、引き渡すことが大切です。
したがって、あらかじめデスクや関係書類、パソコンのデータを整理しておきます。引き継ぎ内容をリストアップし、内容をまとめてから後任者に引き継ぎを行うと、漏れがなくなりますし、スムーズですね。
■会社の備品は返却する
業務で作成した資料や関係書類は持ち出さず、引き継ぎの際に後任の方にしっかりと渡すようにしましょう。
文房具やパソコンなど、仕事に関わるものは返却します。
また、顧客の名刺やパソコン内のデータは処分せず、しっかりと整理し、資料として残しましょう。
■プロジェクトを途中で抜ける場合
やむを得ずプロジェクトを途中で抜ける場合は、これまでの流れを詳しく書き残しておきましょう。内容を詳しく書くだけでなく、トラブル時の対応や注意することなども伝えましょう。
■1週間~2週間程度は後任者と一緒に仕事をしてみる
また、引き継ぎは、仕事内容を教えるだけではありません。話を聞いているだけではわからないことも多いので、1週間~2週間程度は後任者と一緒に仕事を行い、疑問点の解決や細かい仕事内容の確認などを行いましょう。
■「引き継ぎ書」を用意する
退職までの引き継ぎ期間が短い場合や、業務内容が多く、引き継ぎが間に合わないケースもあると思います。
そのような場合は、後任者が困ることがないよう、「引き継ぎ書」としてマニュアルを作成しておくと親切ですね。
退職する際の引き継ぎは短期間ですので、口頭で説明するだけでなく、文書として残しておくと、後々担当者が見返して確認することができます。
引き継ぎする際に作成する「引き継ぎ書」の内容は
・担当する業務の目的や仕事の範囲、大まかな内容
・毎日の仕事の内容や流れ
・週ごとや月ごとの仕事内容や流れ
・シーズンや年単位での仕事内容や流れ
・繁忙期やイベントなどのような特別な時期の仕事内容や流れ
・上司への報告の仕方や部下への仕事の割り振り方や注意点
・他部署との連携の仕方や連絡先
・取引先やお客様などの顧客の特徴や性格、取引の概要、連絡先
・起きやすいトラブルやトラブル時の対処法
・発注書や納品書、領収書の書き方や保管場所
・関係書類や資料の書き方や保管場所
などですね。内容が多岐に渡りますので、ノートや書類にまとめ、資料の保管場所も定めておきましょう。
■退職後の連絡先を残しておく
また、引き継ぎ書を見てわからない場合には連絡してもらえるよう、引き継ぎ書に退職後の連絡先を残しておくと、後任者としては安心ですね。
引き継ぎ書の内容を充実させておくことで、何度も連絡が来るということを避けることができます。引き継ぎ書はしっかり準備しておく必要がありますね。
退職までの引き継ぎ期間で後任者に伝える必要がある事はたくさんあります。万が一に備えて業務内容を引き継ぎ書として残しておくと、自分が退職した後もスムーズに仕事が進みやすくなりますね。