必要以上に口を出してくる親との付き合いは難しく、ストレスが溜まりますし、親の過干渉で悩んでいる方は少なくありません。そこで今回は、過干渉な親の特徴や過干渉な親との付き合い方をご紹介します。
「過干渉」とは、漢字の表すとおり、「干渉しすぎること」を意味し
必要以上に相手の言動に口を出したり、制限をしたりすることです。
親なら、子どもの事は心配ですし、子どもが失敗しないようにある程度のケアやサポートをしてあげることは大切です。
しかし、過干渉な親は、周りがやり過ぎだと感じる位、子どもに口出しをしたり、子どもの言動を制限しようとします。また、大学生や社会人となり、親元から離れることになっても、親の干渉が続くことも、過干渉の一種です。親の過干渉にストレスを感じたり、悩んでいる方は多いですよね。
今では、過干渉をされた子どもは自信を失ったり、無気力になったりすることがあるため、心の成長を考える上で重要な問題になっています。
■過干渉はどこから?過干渉な親の特徴
過干渉だと感じる親の言動は、人によって違いはありますが、例えば
・服装やメイク、ヘアスタイルや髪の色など、身だしなみを口うるさく注意してくる
・社会人になってもお金の使い方に口を出してくる
・親が子どもの予定を全て把握したがる
・家の中では親が定期的に部屋の様子を見に来る
・仕事中や友達や彼氏と会っている時など、外出中に「今何してるの?」「どこにいるの?」などと頻繁に連絡が来るなど、行動や交友関係を監視されていると感じる
・門限があったり、外泊がNG
・結婚相手を親が見つけようとする
・一人暮らしをしたいと言うと止められる
・一人暮らしの部屋に頻繁に出入りして、家事をする
・部屋の中の物や郵便物、PCや携帯電話などを勝手に見る
・いつまでも子ども扱いする
などの親の言動は、社会人になった子どもに対する過干渉と考える方が多いですね。
過干渉をする親の心の底には、自分が抱えている不安や心配といった強迫観念(してはいけないとわかっているのにしてしまう傾向)があると考えられているそうで、
「毒親」という用語を使いながら、過干渉をしがちな親御さんを「不安が強く、強迫観念から子どもをコントロールしがちで、子どもの気持ちを思いやれない親」と定義しています。
親が過干渉かどうかを見分けるには、どうすればよいのでしょうか?
過干渉の親御さんに見られがちな口癖をまとめました。
■「あなたのためを思って言っているのに」
「あなたのためを思って言っているのに」というのは、過干渉の親御さんが使いがちな口癖のひとつです。
確かにアドバイスのつもりで、ああしなさい、こうしなさい、と勧めることはあるでしょう。
しかし、アドバイスが行き過ぎて子どもの自由を奪う「命令」になってしまうと、過干渉になってしまいます。
よかれと思って言ったことでも、子どもの自発性を損ねている可能性があるのです。
■「だって心配だから…」
「だって心配だから…」も定番の口癖のひとつです。
ただし、この場合の親御さんは自分が過干渉をしていることに、ある程度自覚がある可能性があります。
あくまでも「自分が」心配だからということに気づいているからです。
■「どうして言うことが聞けないの?」
「どうして言うことが聞けないの?」という口癖は、典型的なバウンダリー・オーバーの一種です。
上記の発言をする親御さんは、あなたを自分の一部と考えている可能性があります。
「あなたと私は違う存在だ」ということがわかっていれば、こうした発言は出てこないはずだからです。
よく比較される過干渉と過保護の違いは、「子どもの自主性を重んじているかどうか」だと言われています。
過干渉になるのは、子どもが「こうしたい」と言っても否定したり、何か行動を始める前に「ああしなさい」と命令したりする場合と考えられます。
過保護になるのは、子どもがしたいことや欲求をすべて満たしたり、したくないことをすべて避けてたりするような場合の事を言います。
過干渉も過保護も、どちらも子どもの自立が遅れてしまう恐れがあるという点では共通していますね。
■親に逆らいにくくなる
親は、子どもにとっては、圧倒的な存在感で、生まれた時から自分よりも優れている存在です。したがって、過干渉な親に育てられると「親の意思に逆らうことは間違っていることなのではないか?」という心理が働きます。
その結果、親に逆らいにくくなり、大人になってからも親の干渉を受け入れてしまう傾向があります。
■積極性や自主性が減る
過干渉な親は、子どもの行動を把握しようとしますし、子どもの行動を自分の希望に合うようにコントロールしようとします。
例えば、学校、習い事や進路などで、子どもの希望と親の希望が合わないと「どうせできないよ」「そんなことをしても意味がないよ」「〇〇の方がいいよ」などと言われて反対され続けて育ちます。その結果、過干渉な親に育てられた子どもは、自分の希望を主張しにくくなり、自主性や積極性のない性格になる傾向があります。
親の希望通りに進学や就職をした後はもちろん、受験や就職に失敗した場合でも、親の希望に従うことに慣れ、自分の人生の希望がないので、何をして生きていけばいいのかわからなくなってしまい、無気力になることがあります。
■自己評価が低くなる
また、子どもを「できた」か「できていない」かどうかで判断したり、できていない部分を指摘するような過干渉な親に育てられると、いつも責められているような気持になり、自己評価の低い性格になる傾向があります。
努力した過程は関係なく、結果だけで判断されるので、子どもも完璧主義になってしまい、社会人になってから生きにくいと感じることもありますね。
親に他の人と比べられることも多かったので、大人になってからも周囲の人と比べて自分が劣っていると感じて卑屈になってしまうケースもあります。
■ネガティブ思考に
過干渉な親に否定されて育つことが多いと、社会人になってから周囲の人の欠点をすぐに批判するような皮肉屋な性格になることもあります。
友達関係や恋愛でも、相手の嫌な所ばかりが目に付き、受け入れることができないので、良い人間関係を作れず悩むこともあります。
また、はっきりと否定しなくても「こうした方がいい」というアドバイスばかりで、褒めたり認めたりすることを滅多にしないだけでも、子どもは自分の選択に自信が持てなくなってしまいます。
そうした結果、いつも人に確認を求めたり、自分は何か間違っているのではないかと不安になったりしてしまいます。
■罪悪感を覚えやすくなる
過干渉をする親の中には、子どもが親の意に沿わないことをしようとすると「どうして言うことを聞いてくれないの」と涙ながらに訴える人がいます。
こういった場合、子どもは、自分は何か悪いことをしている、親不孝者だという罪悪感に苦しむことになります。
また、親御さんの言うことを聞ける「いい子」であっても、実は罪悪感に駆られて従っているだけというケースもあります。
こういった子には、大人になって自立して行動しようとするときにも、心のどこかに後ろめたさを感じるようになると言われています。
■依存体質に
また、過干渉な親に育てられた子どもは、親と子供がお互いに依存し合っている関係になって、親離れや子離れができないケースも少なくありません。
したがって、交友関係や恋愛関係でも依存体質になりやすく、依存できる人に惹かれることがあり、過干渉な人にコントロールされてしまうケースもあります。
過干渉な親は、親自身と子どもの境界線があいまいです。親が子どもを自分の分身のように感じている人もいます。
したがって、子どもが悲しい思いや辛い思いをすると、自分の事のように感じてしまいますし、失敗を極度に恐れて避けようとして、子どもの言動に口を出してしまいます。
また、親にとって、自分の子どもは、いつまで経っても可愛く幼い子どもです。子どもの成長に気づかず、いつまでも「自分が助けてあげなくては」と思っている過干渉な親も多いですね。
過干渉な親の言いなりになるのをやめたい場合は、まずは自分が変わることが大切です。
■親の干渉に従わない
例えば、親が干渉してきた時に、自分の意思で拒否することは重要です。
最初は「自分が間違っているかもしれない」と不安に感じることもありますが、それは、これまで親に干渉されてきたことが影響しています。
「万が一失敗してもその時は自分で対処しよう!」という気持ちを持って、親の言いなりにならない意思を持ちましょう。
また、思い切って親の問題だと主張してみることで罪悪感から解放されて楽になれます。
「自分の全てを親御さんのせいにする」という意味ではなく、明らかに過干渉に問題の原因があると思ったときには思い切って主張してみる、ということです。
■聞かれたことに答えすぎない
そして、親に毎日の出来事や交友関係を聞かれても、報告するのをやめて、少しずつ距離を取っていきましょう。親の知らないことを増やしていき、親が口出しできないようにすることも有効です。
■「自立したい」と言う
思い切って親に「過干渉すぎるからやめてほしい」と伝えることも、親の干渉が軽減される方法ですね。ただし、「しっかり自立したいから見守ってほしい」と伝えるなど、親を責めるような言い方はしないようにしましょう。
■「親がどう思うか」は考えない
また、親の干渉を無視することで、親は怒ったり、時には泣くことがあるかもしれませんが、親がどう思うかは考えないようにすることも必要です。
過干渉な親にとって、子どもが離れていこうとしていることはショックな出来事ですので、引き留めようとするかもしれません。しかし、親の干渉をやめてほしいと思っているなら、2人の関係を変えるチャンスですので、親の評価は気にせず、自分の意思を通そうとすることが大切です。
■一人暮らしを始める
一人暮らしを始めて、親から離れることで、親に干渉される機会も減りますし、言いなりになってしまうのを避けることができます。合鍵は渡さないようにしましょう。
そして、心配性な親を安心させることも、過干渉な親との付き合い方でおすすめです。
社会人として、やりがいを持って仕事をしている姿を見れば、当然親は安心します。
また、彼氏の良い面を話したり、結婚を前提に付き合っていると伝えることで、交際自体に安心しやすくなりますね。
結婚後に親の過干渉で悩んでいる方も、夫が家事や育児に協力的だと話して、家族で幸せに暮らしているとわかれば、安心するものです。
親に相談をしたり、愚痴を言わないことも重要ですね。
特に、母親の場合は、自分の自由な時間や仕事のキャリアを犠牲にして子どもを育てていると思っている方もいますので、子どもが生き甲斐になっているケースもあります。その生き甲斐になっている子どもが親離れをすると、寂しくなったり、自分の存在価値がなくなるのではないかと思って、親元に繋ぎとめようとすることがあります。
過干渉な親に新しい生き甲斐や楽しみを見つけてあげることも、干渉を軽くする1つの方法です。
例えば、趣味を始めたり、旅行をするようにすすめてみましょう。体験チケットや旅行券をプレゼントしてみるのもいいですね。
ペットを飼ったり、ガーデニングを勧めてみるなど、お世話する必要がある趣味は、特におすすめです。生き甲斐も感じやすいですね。
また、夫婦でできるような趣味を提案したり、ディナーや旅行をセッティングしたりと、夫婦の仲が良くなるようにサポートすることも必要です。夫婦で楽しむことができれば、子どもへの干渉も和らぎます。
子どもに依存するのではなく、他に楽しめるようなことを提案してみましょう。
「親の言ったことには何でも従わないといけないのかな」と、自分以外の他人の言葉に振り回されている人は、『プロカウンセラーが教える他人の言葉をスルーする技術』がおすすめです。
本書では、他人の言葉をスルーし、自分の言葉を見つけ出せるようになる技術が紹介されています。
「親」が苦しいと感じている人は、『毒親からの完全解放』をおすすめします。いろいろなタイプの親の分析や、対策方法が客観的に紹介されているので、自分のケースにも活かせますよ。
「あの一言で忘れられないほど苦しんだ」と過去の悲しい出来事に「執着」している人もいるのではないでしょうか。
『もう傷つきたくない」あなたが執着を手放して「幸せ」になる本』では、自分を縛る執着からの開放を行うワークが紹介されています。「執着なんてしてないよ」と思っている人にも読んでほしい一冊です。
過干渉な親との付き合い方は、自分が親の言いなりにならないよう意識することが重要です。思い切って親元から離れ、物理的に親と距離を置くことも時には必要かもしれませんね。