忘年会や新年会、歓送迎会などで気持ちとして渡す寸志は、色々なマナーがあります。そこで今回は、寸志の使い方や渡し方、封筒の書き方などのマナーをご紹介します。
「寸志」とは、「ほんの少し(寸)の気持ち(志)」という意味で、読み方は「すんし」と読みます。忘年会や新年会、歓送迎会などの際に、好意やお礼の意味で渡されるお金やプレゼントのことです。謙遜した言い方になりますので「粗品」「心付」なども類語として使われることがありますね。
寸志は、色々な使い方がありますが、一般的には、目上の人から目下の人に贈られるものです。したがって、目下の人から目上の人に使用するのは失礼にあたります。
また、目上の人からいただいた寸志に対して、「みなさん!〇〇所長から寸志をいただきましたので、この場をお借りしてご報告させていただきます」と言うのは、実は「〇〇さんから少ない気持ち(お金)をいただきましたよ」という意味になるので、こちらも失礼になってしまう表現です。「寸志」という言葉を使うのではなく、「ご厚志」「お志」「お心遣い」などの言葉を使用するようにしましょう。ただし、いただいた金額は伏せるのがマナーです。
■自分が目上ではない場合
また、取引先の忘年会に呼ばれ、寸志を持参したいような場合は、のし袋や封筒の表書きは「寸志」ではなく「御礼」「ご挨拶」とし、下に自分の会社名や名前を書きます。
ただし、相手から仕事を請け負っている場合には、へりくだった表現である「薄謝」「謝辞」を使用すると、より丁寧な印象になりますね。
■お葬式や結婚式には
お葬式や結婚式の際に、受付や式の運営に関わっていただいたスタッフに渡す場合は、寸志でもOKです。
しかし、知人にお礼を渡す際や、偉そうに感じてしまって抵抗がある際には、お葬式の場合は「志」「御礼」とするのがマナーとされています。結婚式の場合は「寿」「御礼」としましょう。
渡す金額の相場は、3,000円~1万円程度となっています。
寸志は、忘年会、新年会、歓送迎会、懇親会、社員旅行などの際に、管理職が宴会費用として幹事に渡すのがメジャーな使い方です。
その他にも、さまざまなシーンで使用する機会があります。
■歓送迎会の場合
歓送迎会の寸志の相場は、5,000円〜10,000円程度となっており、会費よりも多い金額を包むのが一般的です。主賓として招待され、参加する費用を支払わなくて良い場合でも、寸志を渡すことがあります。
ただし、新入社員が渡す必要はありません。
■ボーナスと寸志の違い
また、会社で渡されるボーナスが規定よりも少額になった場合には、ボーナスや賞与ではなく「寸志」という言葉を使用するのがマナーとされています。また、ボーナスをもらう規定がないパートやアルバイトの方に臨時のボーナスを渡す場合にも寸志が使用されます。
■その他
その他には、引っ越しする際のドライバーやスタッフ、旅館の仲居さんに渡す際にも、心付けとして3,000円~5,000円程度の寸志を渡す場合があります。一人ずつ渡す場合は、一人1,000円程度包むのが相場となっています。
寸志としてお金を包む場合には、封筒に入れて渡すのがマナーです。
■封筒の表書き
封筒の書き方は、表書きは筆や筆ペンで水引の上に「寸志」と書きます。弔事の場合のみ、薄墨の筆ペンを使用しましょう。
水引の下には、会社名や名前、肩書を書きます。
会社名と名前を一緒に書く場合には、真ん中に大きく名前を書き、名前の右上に会社名を書きます。名前と肩書を一緒に書く場合には、真ん中に大きく名前を書き、名前の右上に肩書を書きましょう。
■封筒の裏書き
金額は、封筒の裏に「金〇円」と記載します。
■使用する封筒は
使用する封筒は、歓送迎会や、おめでたい席の場合には「紅白の蝶結びののし袋」を使用します。「赤棒のし袋」の封筒でもOKです。
ビジネスシーンや、その他の場合は、白い封筒を使用することが多いですね。
■寸志の受け取り方
寸志を受け取る際には、きちんと感謝の気持ちを述べ、「ご厚志」「お志」「お心遣い」などと言って、受け取ったことを報告します。
寸志は、「心ばかりのお礼」ということですので、必ずしもお返しをしなくてはいけないというマナーはありません。しかし、後日お礼を述べたり、お礼の手紙を送ると、より丁寧な印象になります。お礼としてお菓子を贈るのも良いですね。
■寸志の渡し方
寸志を渡す際はこっそり渡すようにするのがマナーです。忘年会や新年会、歓送迎会などの宴会の場合は、宴会が始まる前に幹事に渡します。
その他の場合にも、人前ではなく、目立たないように渡すようにしましょう。
目上の人から贈られる寸志には、渡し方や受け取り方などのさまざまなマナーがあります。感謝の気持ちを示す寸志を、お互いに気持ちよく受け渡しするためにも、ぜひ基本のマナーをおさえておきたいですね。