今住んでいる場所から引っ越しをする際には、旧居をきれいに掃除をしているかどうかが退去費用に影響することがあります。そこで今回は、引っ越し前にしておきたい掃除や、タイミングをご紹介します。
【目次】
今住んでいる家から引っ越しをする際に必要になるのが退去費用ですよね。
退去費用は、住居を入居する前の状態に戻す「原状回復」するための費用のことです。原状回復するための費用は、入居時に支払った敷金を使用しますので、お部屋をきれいに使用していれば、原状回復する部分も少なくなりますので、敷金が戻ってくるケースもあります。ただし、敷金なしの物件に入居していた場合は、退去時に数万円以上の費用を請求されることもあります。
原状回復する必要があるものは、借主が不注意でお部屋を汚してしまったり、壊してしまった場合です。
例えば、
・不注意でできてしまった壁や床の傷やへこみ
・クギ穴やネジ穴
・壁や床、カーペットなどの飲み物や食べ物、油、ペンなどの汚れ
・お風呂場や洗面所、シンクの水垢
・カビ
・タバコによるヤニ汚れやニオイ
・ペットによる汚れや傷、ニオイ
などです。したがって、油汚れやカビ汚れ、水垢などは、退去前にしっかりと掃除をすることで、退去時に支払う原状回復費用をおさえることができます。ペットを飼うことができるアパートやマンションなどでも、ペットが原因の汚れは原状回復する必要があります。汚い状態で退去してしまうと、清掃費用を請求されます。
住んでいる間に自然と劣化したり、汚れていくようなものは、原状回復する必要がないとされています。
例えば、
・フローリングのワックスがけ
・経年劣化による自然な壁紙の剥がれや跡
などですね。ただし、住んでいる間にできる自然な汚れか、油やホコリなど、掃除不足による汚れかどうかは、判断が分かれる場合もあります。
引っ越し前の掃除のタイミングは難しいですよね。
引っ越しの前日や当日はバタバタして忙しくなります。引っ越しの前日や当日に時間がかかる場所の掃除をするのは大変です。引っ越しが決まったら少しずつ掃除を進めておきましょう。
しかし、あまり早く掃除を済ませても、生活していく中で汚れていきます。
・バスルームやトイレ、洗面所などの固まってしまった水垢やカビ
・キッチンの換気扇やガスコンロ周辺の油汚れ
・窓や網戸の掃除
・壁や天井、床の汚れがひどい場所
などは、汚れていると目立ちますし、掃除の手間がかかりますので、荷物をまとめながら先に掃除をしておきたいですね。引っ越しの2週間前には掃除を始めましょう。掃除をしながら不要な物は処分していきましょう。
荷物を運び出した後は、忘れ物がないかを確認しながら、拭き掃除をする程度にしておきます。最終点検時の掃除用具は、新居に運んでしまわないように注意しましょう。
■引っ越し先の新居の掃除は
一般的には、入居前にはクリーニング業者が清掃を行ってくれています。新居に入居する前の掃除は、掃除機でホコリを取ったり、雑巾で水拭きをするだけでOKです。
しかし、入居時に窓枠にカビが生えていたり、床や壁が汚れていたり、傷やヘコミがついている場合は、しっかり写真を撮影しておきましょう。退去時に、自分がつけた汚れや傷、ヘコミではないと主張することができます。
旧居から家具や荷物を運びこむ前に、掃除をしながら新居の状態をチェックしておくのがおすすめですよ。
引っ越し前に気になるのが、備え付けのカーペットの汚れですよね。カーペットを洗剤で掃除する場合は、カーペットの目立たない場所に洗剤をつけ、変色していないかどうかチェックしてから使用するようにしましょう。
カーペットの汚れは、擦るとかえって汚れが広がってしまったり、カーペットが毛羽立つ可能性があります。
食器洗い用の中性洗剤や、洗濯用の中性洗剤をシミに垂らし、上から布を当てて、ブラシでトントンと汚れを移していきます。
何度か繰り返してシミが取れたら、水で濡らした布を当てて洗剤を拭き取り、乾かします。
スチームクリーナーを使用するのもおすすめですよ。
引っ越し前には、壁や床、柱などに付いてしまったペンの後も綺麗に掃除しておきましょう。
■クレヨンは
クレヨンの掃除をしたい場合は、クレヨンの上に要らない布を当てて、上から低温に熱したアイロンを当てると、クレヨンが布に移ります。ただし、熱によって壁や床、柱などが変色したり、変質しないよう注意しましょう。
■ペンの跡は
油性ペンの掃除方法は、中性洗剤を使った拭き掃除や、消しゴムで擦るのがおすすめです。また、消毒用エタノールで拭く方法もあります。
ただし、こちらも壁や床、柱などを擦りすぎて傷つけないように注意しましょう。中性洗剤や消毒用エタノールは、一度目立たない場所につけて変色していないか確かめてから掃除を行います。
■水垢汚れ
キッチンのシンクや、バスルームの鏡、水回りの蛇口などの白くなった水垢汚れの掃除は、時間がかかりますので、引っ越し前に早めに済ませておきたいですね。
水垢汚れには200mLの水に小さじ1杯のクエン酸を溶かした「クエン酸水」をスプレーボトルに入れて洗剤として使用します。
クエン酸水をスプレーして、スポンジで擦っても落ちないような水垢が固まっている状態の場合には、クエン酸水で濡らしたキッチンペーパーで覆い、1時間~2時間程度放置してからスポンジで擦ると効果的です。
クエン酸水は、トイレの頑固な黄ばみ汚れの掃除にも使用できますよ。
■カビ汚れ
水回りのカビ汚れには塩素系漂白剤を使用します。ただし、酸性の洗剤やクエン酸水と混ぜると、有毒なガスが発生しますので注意しましょう。
また、人体に付着しないように注意し、汚れても良い服装で、マスクやゴーグル、ゴム手袋を着用しましょう。
カビを落としたい場所に塩素系漂白剤をスプレーし、30分程度放置してから水洗いします。上からラップで覆ってパックをしてから放置すると、より効果的です。
キッチンの換気扇やガスコンロの油汚れも、引っ越し前に掃除しておきたいですね。
100mLの水に小さじ1杯の重曹を溶かした「重曹水」をスプレー洗剤として使用しましょう。
汚れが落ちない場合は、スプレー後にしばらく放置するか、重曹水につけおきしてからブラシで擦るのがおすすめです。
換気扇やコンロの周りだけでなく、キッチンの壁や棚、床などの拭き掃除も重曹水で行いましょう。
汚れ落ちが悪い場合は、重曹よりも汚れ落ちが良いセスキ炭酸ソーダを使用しましょう。500mLの水にセスキ炭酸ソーダを小さじ1杯溶かした「セスキ炭酸ソーダ水」をスプレー洗剤として、重曹と同じように使用します。
重曹水やセスキ炭酸ソーダ水を使用した後は、何度か水拭きをして拭き取るか、しっかり水洗いをしましょう。
喫煙者の方にとっては、壁や天井、床などに付いたタバコのヤニ汚れも、引っ越し前に気になる所ですよね。
ヤニ汚れにも重曹水での拭き掃除がおすすめですが、掃除する前に目立たない場所に付け、変色しないかどうか確かめてから使用します。重曹水を吹きつけるか、重曹水で濡らした雑巾で拭き掃除を行います。拭き掃除を行った後は、水拭きで重曹水をきちんと拭き取りましょう。
湿気はカビの原因になりますので、雑巾は固く絞り、換気をしながら掃除を行います。晴れた日に行うのがおすすめです。
ただし、ヤニ汚れがひどい場合は色ムラができる可能性がありますので注意が必要です。また、ヤニ汚れは、掃除をして見た目が綺麗になっても、タバコのニオイは残っていることもあります。
引っ越し前の掃除は、水回りや油汚れ、カビ汚れなど、時間がかかるものは早めに済ませておく必要があります。ぜひ、きれいに掃除をして、退去費用を賢く節約したいですね。