目が覚めているにもかかわらず体が動かない金縛りは、原因がわからないと怖いものです。そこで今回は、金縛りの原因や症状の種類、前兆や解き方、金縛りにならないための予防策などをご紹介します。
「金縛り(かなしばり)」とは、睡眠中にふと目が覚めると、体が動かなくなっている症状のことです。
金縛りの症状にはさまざまな種類があります。金縛りの症状や原因は人によって異なります。
体が全く動かないという人もいれば、指の先やつま先のみは動くという人や体がしびれている人もいます。声は全くでないという人もいますし、かろうじて小声を出せる人もいます。
金縛り中は、目は見えていて、音も聞こえている人が多いですね。中には人の姿や動物の姿が見えるような「幻覚」に悩まされることがあります。幽霊や妖怪などが見えるような、心霊現象のような体験をする人もいます。
さらに、金縛り中は、精神が体を離れて浮き上がっているように感じる人もいます。また、自分の体の上に何かが重くのしかかっていて息苦しく感じるケースもありますね。
その他にも、人の声や動物の声などが聞こえるなど、幻聴に悩まされる人もいます。キーンという音が聞こえる耳鳴りがする人もいます。
科学的に見て、金縛りが起きる原因はいくつかあります。
■睡眠の異常
金縛りを引き起こす大きな原因になるといわれているのが、睡眠の異常です。人は、睡眠中に「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」を繰り返しています。
ノンレム睡眠は深い睡眠で、体も脳も休息しています。レム睡眠は浅い睡眠で、体は休息していますが、脳は活発に活動しています。記憶の整理を行ったり、記憶の定着をさせるなどの脳のメンテナンスを行っている時間です。
金縛りは、レム睡眠に異常があると起きやすいといわれています。通常は、ノンレム睡眠から始まりますが、睡眠のリズムが乱れていると、レム睡眠から始まり、金縛りになるケースが多いようですね。レム睡眠は、脳は活動していますが、体は休んでいるため、脳と身体の接続が解除されています。したがって、金縛りになっている間は、脳だけが活動しているので、夢を現実のように感じてしまうのに体が動かないのです。
その他にも、寝室の環境が悪かったり、安眠を妨げる姿勢で寝ていると金縛りが起きるケースもあります。
また、昼寝を長くしたり、日によって睡眠時間が異なる場合も、睡眠のリズムが乱れるので金縛りになりやすくなるといわれています。
■疲労
また、疲労が蓄積していることで体や脳の機能が正常に働かず、金縛りになるケースもあります。
■ストレス
さらに、ストレスが蓄積すると眠りが浅くなりやすいので、レム睡眠にも異常が起きやすくなります。
■時差ボケ
その他にも、時差ボケによって睡眠のリズムが乱れて金縛りになることもあります。
科学的に見ると金縛りの原因は心霊現象ではありません。したがって、脳と体の機能が正常に働くようにはたらきかければ、金縛りを解くこともできます。
■金縛りの前兆
金縛りを体験したことがある人の中には、金縛りが来る前兆がわかる人もいます。
例えば
・「ジージー」「ザワザワザワ」などのような雑音が聞こえる
・耳鳴りがする
・小刻みに身体が動く
などの後に金縛りになる人がいます。
■金縛りの解き方
金縛りの原因は、睡眠の異常が影響していることが多いので、自分の意思で解くのは難しいものです。
金縛りを解くためには、まずはリラックスするようにしましょう。そして、深呼吸をしてみましょう。
さらに、手の先やつま先などをできる範囲で動かしてみましょう。体が少しでも動くと、脳が体の動きを感じ取って、脳と体の接続を始めます。ただし、無理に動かそうとすると、体にかなりの負担がかかりますのでやめましょう。
金縛りは、数分程度で解けることが多いですが、睡眠の異常が改善されないと、その後も何度か金縛りになることもあります。したがって、気にならないようであれば、そのまま眠ると、起きた時には脳と体の接続が正常に戻っていますよ。
■良質の睡眠を摂る
金縛りでお悩みの方は、まずは金縛りの原因になりやすい「睡眠の異常」を改善させたいですね。例えば、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きるだけでも、睡眠のリズムが整えられます。
その他にも、二度寝や長い昼寝をしたり、休日にたくさん寝ることも、睡眠のリズムが乱れやすくなるので注意したいですね。
また、寝る前にスマホやPCの画面を見たり、カフェインを摂ると、脳が覚醒して睡眠の妨げになりますので避けたいですね。
寝具やパジャマ、寝室の暗さや温度、湿度などにも気を配り、安眠できるようにしましょう。仰向けやうつ伏せは胸部に負担がかかりやすいので、横向きで寝るのもおすすめです。
起床後は日の光を浴びて体内時計をリセットするのもいいですね。
■疲労の回復
そして、金縛りになる原因の一つとして、疲労の蓄積も影響しています。したがって、疲労を回復させることも重要です。
睡眠時間を7時間程度は確保することはもちろん、栄養バランスの取れた食事を摂ることもおすすめです。
■ストレス解消
その他にも、ストレスも睡眠の障害になりやすいので、ストレス解消することも金縛りの予防策としておすすめです。
■病院での診療
そして、金縛りが頻繁に起こる場合は、睡眠障害の可能性もあります。したがって、睡眠外来や脳神経外科、神経科や心療内科などを受診するのも一つの方法です。
金縛りになる原因は、睡眠のリズムが乱れが影響している可能性があります。したがって、正常な睡眠のリズムをととのえることで、金縛りを予防することができます。生活習慣や寝室の環境を改善するのが、効果的な金縛りの予防策ですね。