結婚する際に両家が集まって行う結納の儀式は、最近では簡素化された略式結納が主流になってきています。そこで今回は、略式結納の結納金や結納品、当日の流れ、マナーや服装などをご紹介します。
結納とは、結婚する両家の間で行われる、結婚の約束をする儀式です。
結納には、大きく分けると、正式結納と略式結納の2種類がありますが、最近では、時間のかかるやり取りを簡素化した略式結納が主流になってきました。
正式結納の場合は、両家の中を取り持つ「仲人」が結納金や結納品を両家の間で運び、渡すという形式です。
略式結納は、結納品や結納金を1つの場所で同時にやりとりする形式です。略式結納は、仲人を立てる場合と立てない場合があり、近年では、仲人を立てずに、両家のみで行う略式結納が多くなってきました。
さらに、結納金なしの場合や、結納品はなく、結納金のみの場合もあります、また、結納を行わずに、両家顔合わせの食事会のみ行う場合も増えてきましたね。
略式結納は、15分から20分程度で終わる短い儀式ですが、色々なマナーやしきたりがあり、結納前にしっかり確認しておくようにしたいですね。
略式結納で気になるのが、結納品の準備ですよね。
結納が行われる料亭やホテル、レストランなどで、結納品も準備してもらえる食事のプランがありますので、あらかじめ略式結納セットのプランがあるお店を選ぶと、結納の準備がしやすいですね。
結納品は、関東や関西、家のしきたりなどで形式が異なります。
■関東式の結納品
関東式の結納品は、
・目録
・熨斗(のし)
・友白髪(ともしらが)
・末広(すえひろ)
・子生婦(こんぶ)
・寿留女(するめ)
・家内喜多留(やなぎだる)
・勝男武士(かつおぶし)
・結納金
の9品目が正式な結納品です。
しかし、略式結納の場合は、家内喜多留(やなぎだる)と勝男武士(かつおぶし)を省いた7品目の場合や、さらに寿留女(するめ)と子生婦(こんぶ)を省いた5品の場合もあります。結納金や指輪のみの場合もあります。目録や受書の他、家族構成を記した「家族書」を用意する場合もあります。
結納品の数は、3品や5品、7品など、結納品の合計の数が割り切れない奇数になるようにしましょう。
関西式の場合は、結納品は男性側のみが準備することが多いですね。
■結納の費用の相場
結納の費用の相場は、
・結納金(男性側50万円や100万円)
・結納返し(男性側の10%や半額)
・結納返し(品物の場合20万円前後)
・結納品(10万円前後)
などです。両家を合わせると、180万円前後かかるのが相場となっています。
■結納品の持ち運びは
また、結納品を運ぶ際は、風呂敷に包んで持参するようにしましょう。ただし、結び目を作ると、結び目をほどくことが、縁が切れることを連想させ縁起が悪いので、風呂敷で包むだけにしましょう。
反対に結納後は、ご縁がしっかり結ばれ、ほどけないよう、風呂敷に包んで結び目を作って持ち帰ります。
略式結納の当日は、まずは、結納品を床の間や床の間の前、テーブルの上などに白木の献上台の上に乗せ、飾り付けることから始まります。
先に新郎となる男性側が入室し、上座に結納品の飾りつけをして、床の間を背にして左側の列に着席します。次に、新婦となる女性側が入室し、下座に結納品の飾りつけをして、床の間を背にして右側の列に着席します。
ただし、関西式の場合は、飾り付けは結納品を持参した男性側のみで行って、女性側は席を外すのが一般的です。
■略式結納の流れ
関東式の略式結納の流れは、
①はじまりの挨拶
仲人がいない場合は、新郎側の父親が進行役を務め、はじまりの挨拶を行います。まずは全員で深く一礼をします。
「この度は、〇〇家と〇〇家に素晴らしいご縁をいただきまして、ありがとうございます。本日はお日柄もよく、結納の儀をとり交わさせていただきます。仲人役をお通しするのが正式ではございますが、本日は、略式にて進めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。」などの口上が一般的です。
②男性側が結納品を納める
次に、男性側の母親が結納品と家族書を載せた「片木盆」を持って、女性本人の前まで進みます。礼をして席に戻ったら、そのあと進行役の男性の父親が「そちらは〇〇(新郎となる男性の名前)からの結納でございます。いくひさしくお納めください」のような口上を述べ、深く一礼をします。
③女性側が受書を渡し、結納品を納める
女性側の全員が本人、父、母の順で目録に目を通したら、女性本人が「ありがとうございます。いくひさしくお受けいたします」と口上を述べて、女性側全員が深く一礼をしましょう。
女性側の母親が結納品を飾り台に運んだら、男性側の父親に受書を渡しましょう。
今度は、男性側が「ありがとうございます」とお礼を言い、もらった受書を確認します。
次に、女性側の母が結納品と家族書を載せた「片木盆」を持って、男性本人の前まで進みます。礼をして席に戻ったら、そのあと女性の父親が「そちらは〇〇(新婦となる女性の名前)からの結納でございます。いくひさしくお納めください」のような口上を述べ、深く一礼をします。
男性側の全員が本人、父、母の順で目録に目を通したら、男性本人が「ありがとうございます。いくひさしくお受けいたします」と口上を述べて、男性側全員が深く一礼をしましょう。
④男性側が受書を渡す
男性側の母親が結納品を飾り台に運んだら、女性側の父親に受書を渡しましょう。
今度は、女性側が「ありがとうございます」とお礼を言い、もらった受書を確認します。
⑤婚約記念品の披露
最後に、婚約記念品があれば「婚約記念品としていただきました」と言ってお披露目をしましょう。
⑥締めの挨拶
最後に、男性側の父親が「本日は誠にありがとうございました。無事結納を納めることができました。今後とも、いくひさしくよろしくお願いいたします。」と締めの挨拶を行います。
次に、女性側の父親が「こちらこそ、ありがとうございました。今後とも、いくひさしくよろしくお願いいたします」と返礼の挨拶をしましょう。
その後、その場の全員で「今後ともよろしくお願いいたします」と丁寧に挨拶をして、結納が終了です。
略式結納の後は食事会を行うのが一般的です。
短時間の儀式の略式結納ですが、儀式が終わるまでは、私語は慎み、できるだけ口上のみを話すようにするのがマナーです。
そして、
・別れる
・離れる
・壊れる
・切れる
・割れる
・度々
・重ね重ね
・くれぐれ
などの縁起が良くないとされる「忌み言葉」は使わないようにします。
■服装
また、服装は、両家の格式を合わせるのがマナーですね。
服装も、本来は正礼装で行う儀式でしたが、準礼服で行うのが一般的になってきました。
男性の場合は白のシャツにスーツ、白や華やかなネクタイがおすすめです。
女性の場合は、ヒザ下丈の上品なワンピースやセットアップ、振袖などがおすすめです。
手土産を持参するかどうかも、両家で合わせるようにしましょう。
略式結納は、短い時間で行うことができますが、さまざまなマナーやしきたりがあり、地域によっても差があります。結婚後も円満な家族関係を築いていくためにも、マナーを守って滞りなく結納を進めたいですね。